【米ドル交換停止?】香港ドルは紙くず紙幣になり今後なくなる?危ないから日本円に戻す?現状と見通しを解説!

【米ドル交換停止?】香港ドルは紙くず紙幣になり今後なくなる?危ないから日本円に戻す?現状と見通しを解説!
Lisa

香港の法定通貨である香港ドル(HKD)をめぐり、「香港ドルが紙くずになるのではないか」という噂が一部で話題になっています。

このようなネガティブな情報に接し、不安を感じている香港在住の日本人や、日本国内で香港ドル資産を保有する投資家もいるでしょう。

本記事では、「香港ドル 紙くず」といったキーワードの真偽を検証し、香港ドルの現在の状況と今後の見通しについて、信頼性の高い情報をもとに冷静かつ正確に分析します。

スノーベル

加えて、「香港ドルを日本円に戻す」方法や香港ドルを両替する手段、「香港ドルは危ない」という声への反論、そして香港ドル紙幣の発行状況や信頼性についても解説するにゃ。

関連記事(ココをクリック👇):
目次

香港ドル「紙くずになる」という噂の発生源と真偽

スチュアート

近年、インターネットやSNS上で「香港ドルが紙くず同然になる」という趣旨の情報が拡散されたことがあります。その発端としてよく挙げられるのが、2020年の香港国家安全維持法の導入に伴う米中対立の激化です。

この法律施行が報じられた当時、一部メディアやSNSで過激な憶測が飛び交い、「米国が本気で香港を制裁すれば香港ドルは紙くずになる」といった極端なシナリオが語られました。

しかし、こうした情報の多くは偏ったニュース報道やSNS上の過度な拡散によって不安が煽られた面が強く、事実に基づかないものでした。

スノーベル

では実際のところ、香港ドルが突然無価値になるような危機は現実にどれほどあり得るのかにゃ?

結論から言えば、そのような可能性は極めて低く、少なくとも現時点で香港ドルが一瞬で紙くず同然になることは考えにくいのが専門家の共通した見解です。その理由を理解するために、まず香港ドルの為替制度と経済的な裏付けについて確認してみましょう。

Lisa

ネットで“香港ドルが紙くずになる”なんて話を見て、不安になっちゃったんですけど、本当にそんなことあるんですか?

スノーベル

うん、それは心配だよにゃ。でも安心して。香港ドルが急に紙くずのように無価値になる可能性は極めて低いにゃ。確かにネットでは刺激的な噂が広まったけど、実際には香港ドルには強力な支えがあるんにゃ。でも指摘されているように、香港ドルは潤沢な外貨準備に裏付けられていて、一瞬で価値がゼロになるなんて考えられないんにゃ。というかそんなわけないにゃ。

香港ドルの為替制度:米ドルペッグ制と信頼性

香港ドルの価値を語る上で欠かせないのが、米ドルとのペッグ制(連動制)です。香港は1983年以降、通貨を米ドルに連動させるペッグ制を採用しており、現在は1米ドル=7.75〜7.85香港ドルという狭いレンジで為替レートが維持されています。

香港ドルのドルペッグ

この制度の下、香港金融管理局(HKMA)は為替介入や金利調整を行い、香港ドルと米ドルの交換レートをこの範囲内に収めるよう常に管理しています。

スノーベル

香港ドルのドルペッグ制っていうのはね、香港ドルの価値を米ドルに固定する仕組みのことにゃよ。

Lisa

固定するって、ずっと同じレートってことですか?

スノーベル

その通りにゃ。例えば1米ドル=約7.8香港ドル前後に張り付かせる感じだね。香港の通貨当局は為替市場で香港ドルを売買して、この決められた範囲から大きく外れないように調整してるんにゃ。

Lisa

へえ、それなら急激な為替変動が抑えられて安心ですね!

スノーベル

そうだにゃ。ドルペッグ制のおかげで、いつでも一定のレートで米ドルと交換できる安心感が生まれる。香港は世界でも有数の金融センターだから、通貨の信用が安定していることが経済にとってとても大事なんだ。

香港は世界でも有数の金融センター

香港のペッグ制はしばしばカレンシー・ボード制とも呼ばれます。これは、発行する自国通貨の量と同等の外貨(香港の場合は米ドル)準備を保持する制度です。

スチュアート

香港では紙幣の発行権を持つ発鈔銀行が新たに香港ドル紙幣を発行する際、同等の米ドルをHKMAに預託することが義務付けられています。

つまり、流通する香港ドルの裏には常にそれと同価値の米ドルが備えられているため、香港ドルは事実上米ドルに完全に裏付けられた通貨だと言えます。

この仕組みにより、香港ドルの信用力は高く保たれており、極端な状況でも通貨当局が一定の価値を保証できる体制になっています。

スチュアート

この体制の信頼性は過去の危機でも証明されています。1997年のアジア通貨危機では、ヘッジファンドによる香港ドル売り浴びせ攻撃がありましたが、HKMAは果敢な防衛策を講じてペッグ制を死守しました。

1997年のアジア通貨危機では、ヘッジファンドによる香港ドル売り浴びせ攻撃がありましたが、HKMAは果敢な防衛策を講じてペッグ制を死守

当時、香港ドルを借りて売り浴びせていた投機筋に対抗し、HKMAは一時的にオーバーナイト金利を300%にまで急騰させました。

スチュアート

金利が非常に高くなれば香港ドルを借り続けるコストが跳ね上がるため、売りを仕掛けたヘッジファンドは耐えきれずに撤退し、結果的にペッグ制は維持されたのです。

このエピソードは、香港ドルが強固な制度に守られていることを象徴する出来事として語り継がれています。

加えて、香港ドルの安定を支えるもう一つの大きな柱が巨額の外貨準備高です。

香港金融管理局が保有する外貨準備は約4,200億米ドル(約47兆円)にも上り、これは香港のマネタリーベース(通貨供給量)の約1.7倍に相当します。

スノーベル

言い換えれば、現在市場に出回っているすべての香港ドルを米ドルに交換しても、なお半分以上の米ドル準備が香港に残る計算になるにゃ。

この潤沢な準備のおかげで、HKMAは為替市場で必要なだけ米ドルを供給したり吸収したりして、ペッグ制を滑らかに運営する能力を有しています。

スチュアート

専門家はこうしたファンダメンタルズ(経済の基礎要因)を踏まえ、香港ドルのペッグ崩壊を想定するのは「ばかげている」と口を揃えます。

なぜなら香港にはなお巨額の外貨準備があり、さらに中国政府も香港の米ドルペッグ制を支持しているからです。香港ドルは米ドルだけでなく、政治的にも強力にバックアップされているといえるでしょう。

香港金融管理局(HKMA)のスタンスと対応策

香港金融管理局(HKMA)は香港の中央銀行に相当する機関であり、香港ドルの安定と金融システムの健全性を守る使命を担っています。

HKMAは香港ドルの米ドルペッグ制を維持することに断固たる姿勢を示しており、近年もその意思を明言しています。

Lisa

2025年1月、HKMA総裁の余偉文(エディ・ユイ)氏は「香港にはペッグ制を変更する意図も必要性もない。香港はペッグ制を守る能力を備えている」と公式声明で強調しました。

[香港/上海 9日 ロイター] – 香港金融管理局(HKMA、中央銀行に相当)の余偉文総裁は9日、香港ドルを米ドルと連動させる「ペッグ制」について、香港にはこの制度を変更する意図も必要性もなく、香港はペッグ制を守る能力を備えているとの認識を示した。HKMAのウェブサイトに声明を発表した。

香港ドルの米ドルとのペッグ制、変更は不要=香港金融管理局総裁

また同時に、先述のように香港はマネタリーベースの約1.7倍に相当する巨額の外貨準備を持ち、ペッグ制を常に円滑に運営することが可能であるとも述べています。

スノーベル

つまり、HKMA自身が「現行のペッグ制にいささかの揺らぎもなし」という自信を内外に示しているのにゃ。

HKMAは実際の市場介入を通じてもペッグ制維持の姿勢を行動で示しています。

例えば、為替レートが許容変動幅の上限(1米ドル=7.85香港ドル)に迫り香港ドル安が進んだ局面では、HKMAは繰り返し市場介入を実施して香港ドル買い・米ドル売りを行い、防衛線を死守してきました。

一方で香港ドル高が進み下限(1米ドル=7.75香港ドル)に触れると、香港ドル売り・米ドル買い介入を行って過度な香港ドル高を抑える動きも取っています。

スチュアート

2005年に現在の変動幅(7.75〜7.85)が設定されて以降、香港ドル高局面での介入は300回以上、香港ドル安局面でも80回以上に上り、その累計金額は数兆香港ドル規模にも達しています。

この数字からも、HKMAがどれほど積極的かつ機動的に為替安定に努めているかがお分かりいただけるでしょう。

HKMAのスタンスは香港政府および中国政府の立場とも整合しています。

香港政府の財政長官や中国本土の金融当局者も、香港ドルの安定は香港の国際金融センターとしての地位を支える根幹であり、ペッグ制は依然として最善の制度であるとの認識を示しています。

スノーベル

むしろ香港ドルの信認を揺るがすような事態になれば香港だけでなく米国企業にも大きな損失が及ぶため、各方面にとって望ましくないとの指摘もあるにゃ。

実際、香港には多くの外資系企業(特に米国企業)が拠点を構えビジネスを展開していますが、香港ドルと米ドルの交換が停止されるような極端な措置が取られた場合、それら企業が保有する香港ドル資産を米ドルに換金できず莫大な損失を被る恐れがあります。

Lisa

つまり、香港ドルをめぐる制裁はブーメランのように制裁を科す側にも跳ね返るため、米国政府といえども容易に決断できることではないのですね!

このように、HKMAおよび関係当局は制度面・運用面の両方から香港ドルの価値を下支えしており、「香港ドルは危ない」「香港ドルと米ドルの交換停止」といった懸念に対しては明確に反論できる材料を揃えています。

香港ドルの今後と将来見通し(経済・政治両面から)

ここまで香港ドルの安定性について現状を確認してきましたが、では「香港ドルの今後」の見通しはどうでしょうか。経済的・政治的な両面から考察してみます。

経済環境と香港ドルの見通し

経済面では、香港ドルの価値は当面安定が続くとの見方が大勢です。

スチュアート

香港経済は2020年前後に政治的不安や新型コロナの影響で一時的な停滞がありましたが、その後は回復基調にあります。

失業率や不動産価格など課題も残るものの、香港の外貨準備は依然潤沢であり金融システムも強靭です。

そのため、よほどのグローバル金融危機や米ドル自体の信用不安でも起こらない限り、香港ドルの米ドルペッグが崩れる可能性は低いと予想されます。

ただし、一部には香港ドルの米ドルペッグ制が長期的には見直される可能性も指摘されています。

スノーベル

背景には、香港経済と中国本土経済の結びつきが年々強まっている事実があるにゃ。

1980年代〜90年代には米国が香港の最大の貿易相手国だったがにゃ、現在では香港の貿易総額の約5割が中国本土との取引となり、香港経済は中国経済との連動性が非常に高くなっているにゃ。

一方で米国と香港の経済的結びつきは相対的に低下しており、米ドルに香港通貨政策が縛られることの弊害(米国の金利動向に香港も追随せざるを得ない等)が課題として浮上しています。

Lisa

さらに、中国人民元(RMB)は近年国際化が進み、IMFの特別引出権(SDR)通貨バスケットにも採用されるなどプレゼンスを高めています。

IMF ニュース:人民元がSDR バスケットに採用されたことは、中国にとってどのような意味をもちますか。

ティワリ :RMBの採用は、中国経済を国際金融制度に組み込む重要な一里塚だと言えます。RMBを自由利用可能通貨だとするIMFの判断は、国際貿易において中国の役割が拡大し、国際的なRMBの利用や取引が著しく増加したことを反映するものです。また、中国の通貨制度、為替制度、金融システムにおいて改革の進展がみられたことに加え、金融市場の自由化、統合、インフラの改善においても進展がみられます。RMBがSDRバスケットに採用されたことで、既に国際的に利用や取引が増加しているRMBを一段と支えることになると我々は予想しています。
IMF、中国人民元を特別引出権バスケットに採用

このような状況変化を踏まえ、「遠い将来を見据えれば、香港ドルは米ドルではなく人民元に連動させた方が適切ではないか」との議論も一部で存在します。

実際の市場もわずかながら将来の変化を織り込む動きを見せています。

スチュアート

例えば数年後満期の香港ドル先物価格は、現在の許容レンジ(1米ドル=7.75〜7.85HKD)を僅かに上回る1米ドル=約7.9HKD前後で取引されています。

これは、将来的にペッグ制のレンジ変更(香港ドルの小幅な切り下げなど)が行われる可能性を意識した水準といえるでしょう。

ただし、市場参加者もペッグそのものの廃止といった急進的なシナリオまでは織り込んでいません

スノーベル

過去に幾度となくヘッジファンドが香港ドルの切り下げ・ペッグ廃止に賭けては撃退されてきた歴史もあるため、市場の見方も慎重になっているのにゃ。

スチュアート

有名投資家のビル・アックマン氏が2022年末に「香港ドルペッグは近く崩壊する」と宣言して話題になりましたが、結局その取引も大きな成果には繋がらず、市場の香港ドル安思惑は尻すぼみとなりました。

[シンガポール 24日 ロイター] – 著名投資家のビル・アックマン氏は、香港ドルの一段安を見込んでおり、香港ドルを米ドルの値動きに一定範囲内で連動させるペッグ制の崩壊は時間の問題との見方を示した。
「プットオプション(売る権利)保有を通じて香港ドルのかなりの規模のショートポジション(売り持ち高)がある」とし、「ペッグ制は香港ドルにとってもはや理にかなっていない」と述べた。
香港ドルの一段安予想、ペッグ制崩壊は時間の問題=アックマン氏

Lisa

え・・・普通に香港で暮らしてた2022年にこんな話あったの・・・!?

むしろ多くの専門家は「現在の制度が簡単に崩れるとは思えない」と述べており、総合的に見て香港ドルの安定は今後も維持される可能性が高いと考えられます。

政治要因と2047年問題、香港ドルは「なくなる」のか?

香港ドルの将来を語る上で避けて通れないのが2047年問題です。これは、「一国二制度」が約束された期限である2047年以降、香港の制度がどうなるのか不透明だという問題です。

Lisa

香港基本法の第5条には「資本主義の制度や生活様式を50年間(1997〜2047)変更しない」と明記されており、通貨制度もその中に含まれます。

実際、香港基本法第112条には「香港特別行政区は外国為替管理政策を実施しない。香港ドルは自由に交換できる。資金の流れや出入りの自由を保障する」旨が定められており、香港ドルの独立性は2047年まで法律で守られています。

では2047年以降、香港ドルは「なくなる」のでしょうか? 現時点で明確な答えは出せませんが、専門家の多くは仮に人民元への通貨切り替えが起きるにしても、それは段階的かつ長期的なプロセスになると見ています。

スチュアート

中国政府にとっても香港は国際金融センターとして重要な存在であり、香港ドルの信用失墜は自国経済にも跳ね返ります。

そのため、2047年を境に突然香港ドルを廃止し人民元に一本化するような “ショック療法” は考えにくく、移行があるとしてもマーケットと香港市民の混乱を最小化する形が取られるでしょう。

スノーベル

実際、最近の傾向を見ると、香港市場では人民元建て取引の受け入れが徐々に拡大しているにゃ。例えば香港証券取引所では、一部株式について香港ドル建てと人民元建てのデュアル通貨建て取引が導入され始めたにゃ。

また、銀行預金や決済の分野でもオフショア人民元市場(CNH市場)が香港に存在し、人民元の取り扱いが年々増加しています。しかしこれらはあくまで香港が国際金融市場として人民元の国際化を助ける役割を担っている面が大きく、香港ドル自体の信認や使用が急激に低下しているわけではありません。

香港市民の日常生活では引き続き香港ドルが主役であり、人民元が法定通貨として流通しているわけではないのです(※香港の法定通貨は返還後も香港ドルのみであり、人民元は現在も公式には使用できません)。

結論として、少なくとも2047年までは香港ドルが「なくなる」ことはなく、香港ドルの地位は保証されていると言えます。2047年以降についても、香港ドルと人民元の共存や漸進的な統合の可能性はありますが、香港ドルが一夜にして紙屑になるような極端なシナリオは現実的ではありません。むしろ香港ドルの長期的将来については、香港と中国本土の関係性、人民元の国際化の進展、そして国際金融情勢といった複合要因を注視しつつ、柔軟に備えていくことが肝要でしょう。

香港ドルから日本円へ安全に戻す方法とは?

香港ドル資産を保有する日本人にとって、状況によっては「香港ドルを日本円に戻す」ことを検討するケースもあるでしょう。

例えば香港での駐在を終えて日本に本帰国する際に香港ドル建ての貯蓄を円に替えて持ち出したい場合や、香港ドルのまま保有するリスクを感じて一部を円転したい場合などが考えられます。

ここでは、香港ドルを安全かつ確実に日本円へ戻す方法と、その手順・注意点を解説します。

銀行を利用した円転と国際送金

もっともオーソドックスで安全性が高いのは、銀行経由で香港ドルを円に交換し送金する方法です。

具体的には、香港の銀行口座にある香港ドルを銀行窓口やオンラインバンキングで日本円に両替し、そのまま日本の自分の銀行口座へ海外送金します。香港の大手銀行(HSBCやスタンダードチャータード銀行など)では日本円への直接両替サービスが可能であり、必要に応じて担当者に手続を依頼できます。

Lisa

この方法のメリットは、公的な銀行経路であるため大口の資金でも安全に処理でき、資金洗浄対策など法令遵守の面でも安心感があることです。

一方でデメリットは、為替手数料や送金手数料が発生することです。銀行の為替レートは一般にインターバンクレートにスプレッド(上乗せ幅)を加えたものになるため、両替コストがやや高めになります。

また国際送金手数料もかかるため、事前に各銀行の手数料体系を確認しておきましょう。

スチュアート

高額送金の場合は送金ルート(中継銀行)によっては着金額が減ることもあるので、必要であれば手数料優遇のある銀行を選んだり、一度に送金する金額を工夫することもポイントです。

両替商や買取所を利用する方法

香港現地で紙幣を持っている場合、街中の両替商で日本円に替える方法もあります。

香港市内には合法的に営業する両替所が多数あり、場所によっては銀行より良いレートを提示してくれるところも存在します。

特に尖沙咀(チムサーチョイ)の重慶大厦(チョンキンマンション)内にある両替商や、中環(セントラル)界隈の老舗両替店はレートが良いことで知られています(例:「PACIFIC EXCHANGE」「小女孩找換店」など)。こうした両替商を利用すれば、比較的有利なレートで香港ドル現金を日本円現金に交換できます。

重慶大厦(チョンキンマンション)

メリットは手続きが簡便でレートが良い点ですが、多額の現金を持ち歩くリスクや、偽札・詐欺などに対する注意も必要です。

信頼できる両替所かどうかを事前に調べ(口コミや利用実績のある店を選ぶ)、必ずその場でレートと受取金額を確認しましょう。

Lisa

なお、日本国内でも大黒屋や金券ショップ、一部の両替専門店で香港ドル紙幣を買い取ってくれる場合があります。

ただし、日本国内での香港ドル現金の換金レートは香港現地よりも悪い傾向があるため、少しでも有利に戻したいなら日本に戻る前に香港現地で円に替えておくのがおすすめです。

3. オンライン送金サービスの活用

近年普及しているオンライン海外送金サービス(例:Wise〈ワイズ〉等)を使うのも、日本円に戻す便利な方法です。

これらのサービスでは、利用者は香港ドル建てで指定口座に入金すると、サービス運営側が独自のレートで円転して日本の自分の銀行口座に円を振り込んでくれます。

スチュアート

一般的に銀行より為替手数料が安く、送金スピードも速いというメリットがあります。たとえばWiseでは中間マージンの少ない実勢レートに近い為替レートが適用され、送金手数料も比較的低廉に設定されています。

そのため少額から中程度の金額を素早く送金したい場合に適しています。ただし、サービスごとに一度に扱える金額の上限や対応通貨の種類が異なるため、大口送金には制限があることや、事前の本人確認手続きが必要な点に注意が必要です。

以上が主な方法ですが、状況によって最適解は異なります。下表に各方法の概要とメリット・デメリットを整理しました。

スノーベル

まとめると、確実さ重視なら銀行での円転・送金、レート重視なら現地両替やオンラインサービスの活用、といったところだにゃ。

Lisa

なるほど~。安全第一かお得さ優先かで使い分ければいいんですね。

スノーベル

そのとおり。大事なのは、慌てて不利なレートで換える必要はないってことかにゃ。不安だからといって闇雲に香港ドルを処分するのではなく、信頼できる方法で計画的に日本円に戻すことが大切だにゃ。

香港ドルの両替おすすめの方法と注意点

旅行や出張で香港ドルを扱う場合や、香港ドル建ての資産を持つ場合に、「香港ドルを両替するならどこがお得か?」という疑問は常につきまといます。

香港旅行時の両替

旅行で香港に行く際、日本円を香港ドルに替えるタイミングと場所が重要です。

もっともレートが良いのは一般的に香港到着後、市内の両替所を利用する方法です。上でも触れたように、尖沙咀の重慶マンション内や中環・銅鑼湾エリアの両替所はレート競争が激しく、空港や日本国内で両替するより有利なことが多いです。

スチュアート

例えば、日本円から香港ドルへの両替で重慶大厦内の有名店を使った場合、香港の銀行窓口で替えるより数%多く香港ドルを手にできるケースもあります。

ただし、深夜に到着した場合など市内まで行けないときは、空港内でも営業している両替所があります。その際は空港の表示レートをよく確認しましょう(特別レートと書かれて実際には手数料分不利な場合もあるので注意)。

おすすめは必要最低額だけ空港で両替し、本格的な両替は市内で行うことです。帰国時に香港ドル現金が余った場合も、香港で日本円に再両替しておく方が日本に持ち帰るよりレート上有利です。

現地在住者・駐在員の場合

香港に住んで給与や収入を香港ドルで得ている方は、日常的に両替や送金の機会があるでしょう。給与の一部を円転貯蓄したい場合には、上記の銀行送金オンラインサービスが利用できます。

特に長期滞在者は香港と日本双方に銀行口座を開設しておき、為替レートが自分に有利なタイミングでまとまった額を円転する、といった戦略も考えられます。

スチュアート

為替相場は日々変動するため、香港ドル高・円安の局面では円転を控え、逆に香港ドル安・円高が進んだときに円転するなどタイミングを計る工夫も有効です。

また、香港の銀行ではマルチカレンシー口座を提供しているところもあり、一つの口座でHKDとJPYの両方を管理できる場合もあります。

そのような口座を活用すれば、香港にいながら手数料を抑えて円を保有し、日本への移動時に円建てで送金するといった柔軟な対応が可能です。

大金の現金持ち出しは避け

投資家の中には「現金のまま日本に持ち帰る方が銀行手数料がかからないのでは?」と考える方もいるかもしれません。

しかし、日本には100万円相当額を超える現金を持ち込む場合の申告義務がありますし、何より盗難・紛失のリスクが高まります。

Lisa

香港ドルで100万円相当となると約5.4万HKD(2025年時点レート)ですが、それだけの紙幣を持ち歩くのは危険です。金融資産を安全に移動させるためにも、正規の銀行送金か信頼できるサービスを使うことを強くおすすめします。

以上のように、両替は「どこで」「いつ」「どの方法で」行うかによって受け取れる金額が大きく変わる可能性があります。自分の状況に合った最適な方法を選びつつ、安全面にも十分配慮して資産を管理しましょう。

「香港ドルは危ない」という不安に答える

ネット検索で「香港ドルは危ない」というキーワードが出てくる背景には、「香港ドルを持っていて本当に大丈夫なのか?」という人々の素朴な不安があります。

ここまで述べてきた情報を踏まえ、改めてこの問いに対する冷静な回答を整理します。

1. 強固な制度的裏付け

香港ドルは米ドルペッグ制という枠組みの中で、その価値が厳密に管理されています。通貨発行量に見合った米ドル準備を保持するカレンシー・ボード制により、香港ドルは常に実質的な裏付け資産(米ドル)を持っている状態です。さらに香港基本法によって通貨の独立性・交換性が保証され、為替管理が禁止されていることから、法的にも香港ドルの信用は守られているのです。このような制度的担保がある通貨は世界的に見ても特殊であり、裏付けのない不換紙幣と比べて「信用が突然ゼロになる」リスクは格段に低いと言えます。

2. 潤沢な外貨準備と当局の意志

先述のとおり、香港には必要十分すぎるほどの米ドル外貨準備が蓄えられており、多少の市場変動ではビクともしません。HKMA自身も繰り返し「ペッグ制を維持する能力がある」と公言しており、この体制を崩す意図はないことを明言しています。

つまり、香港の通貨当局は香港ドルの価値防衛にコミットしており、「危ないどころか非常に守りが固い」というのが実情です。

3. 中国・米国双方の利害

香港ドルを極端に揺さぶるような事態は、中国本土・米国双方にとっても得策ではありません。中国政府にとって香港の安定は国際資本を呼び込む上で重要ですし、米国企業も香港を通じたビジネスで多額の収益を上げてきました。

仮に香港ドルが急落・暴落するようなことがあれば、香港経済の混乱のみならず、中国本土や米国企業にも痛手を与えるでしょう。

米国が香港ドルと米ドルの交換を禁止するような制裁は、米企業に跳ね返るブーメランになり得るため現実的ではないのです。

4. 過度な悲観は禁物

「香港ドルが危ない」との声の中には、香港の政治情勢への不安からくるものもあります。

確かに、香港の政治的自由度が以前より制限されたとの指摘や、移住する香港人が増えている現象などは事実です。しかし、それと香港ドルの価値が直結するわけではありません。

極端な例を挙げれば、政治体制に不透明感がある中国本土ですら、自国通貨である人民元が即座に紙くずになるような事態は起きていません。

スチュアート

香港ドルはそれ以上に国際的に開かれた経済環境で運用されており、システムとしても透明性が高く整備されています。むしろ悲観的な噂に振り回されて拙速に資産を動かすことの方がリスクと言えるでしょう。

以上を総合すれば、「香港ドルは危ないのか?」という問いに対しては、「いいえ、現状の香港ドルは極めて安定しており、“危ない”どころか世界でも屈指の信頼性を備えた通貨と言えます」と答えるのが適切でしょう。

スノーベル

ただし、どんな資産にもリスクはゼロではないように、香港ドルについても長期的な視野では変化の可能性はゼロではありません。重要なのは、冷静に状況を見極め、制度や数字が示す事実に基づいて判断することです。

根拠のない噂や煽りに惑わされず、正確な情報にアクセスすることで不安はかなり解消されるはずです。

香港ドル紙幣の発行状況と信頼性

最後に、香港ドルそのものの物理的な姿である香港ドル紙幣について、その発行体制や信頼性を確認しておきましょう。香港ドル紙幣は日本円とは異なる独特の発行形態をとっていますが、これもまた香港ドルの信用を支える仕組みの一部です。

香港では、紙幣の発行を行う主体が一つではありません。現在流通している香港ドル紙幣は、額面ごとに発行体が決まっており、HK$20以上の紙幣は3つの商業銀行(香港上海銀行=HSBC、スタンダードチャータード銀行、中国銀行(香港))が発行しています。

香港上海銀行=HSBC、スタンダードチャータード銀行、中国銀行(香港)
スチュアート

一方、硬貨とHK$10紙幣については香港金融管理局(HKMA)が直接発行・管理しています。

スノーベル

このように複数の銀行が発鈔銀行として紙幣を発行する制度は、香港独自のものです。「銀行が勝手にお札を刷って大丈夫なの?」と思われるかもしれませんが、前述のとおり各発鈔銀行が紙幣を発行する際には同額の米ドルをHKMAに預け入れる義務があり、HKMAから発行許可証(兌換証券)を受け取って初めて市中に流通させます。

つまり、発鈔銀行はHKMAに預託した米ドルと引き換えに香港ドル紙幣を発行している形であり、この兌換証券には「要求があれば所持人にお支払いします(Promises to pay the bearer on demand)」との文言が印刷されています。これは、発行銀行がその紙幣の価値を保証する旨を示すものです。

一方、HKMAが発行する10ドル紙幣には「香港法定貨幣」という表記があり、こちらは直接HKMAが価値を担保しています。いずれにせよ、全ての香港ドル紙幣は何らかの形で確実にその価値が裏付けられていることになります。

香港ドル紙幣

紙幣のデザイン面では、香港では定期的に新しいシリーズの紙幣が発行されています。直近では2018年から現行デザインの新シリーズ紙幣(通称「2018シリーズ」)が順次発行されており、特徴的なホログラムや透明窓など最新の偽造防止技術が取り入れられています。

Lisa

過去の旧デザイン紙幣も現在まで法定通貨として有効ですが、銀行で入出金する際には新紙幣へ置き換わってゆく流れにあります。香港ドル紙幣の信用性は極めて高く、発行体が複数あるとはいえ香港金融管理局の厳格な管理下におかれています。

仮にどこか一つの発行銀行に信用不安が起きた場合でも、紙幣自体の価値が突然失われることは考えにくいでしょう。万一そのような事態があればHKMAが即座に必要な措置(別銀行による引き受けや償還など)を講じるはずであり、香港ドル紙幣ホルダーが保護される仕組みになっています。

さらに補足すると、香港ドル紙幣や硬貨は日本国内でも一部の両替所やコレクター市場で需要があります。

特に返還前のエリザベス女王肖像の硬貨や古い紙幣は稀少性からコレクション対象になることもあります。しかし通常の金融取引では最新の香港ドル紙幣が使われますので、香港在住・訪問の方はできるだけ汚損のない新しい紙幣を受け取るようにすると良いでしょう。

返還前のエリザベス女王肖像の硬貨や古い紙幣
スチュアート

古い紙幣でも香港の銀行に持ち込めば新紙幣と交換してもらえますので、手元に使いにくい旧紙幣がある場合は銀行で交換することをおすすめします。

まとめると、香港ドル紙幣の発行体制は複数銀行+HKMAという独特な仕組みながら、その信用はHKMAの管理と米ドル裏付けによって担保されているため、不安に思う必要はありません。紙幣自体も偽造防止がしっかりしており、香港国内外で広く受け入れられる通貨です。流通量も香港経済規模に見合った適正な範囲で管理されており、「紙くずになる」どころか今後も香港の発展とともに着実に価値を保ち続けるでしょう。

スノーベル

香港ドルの仕組みや将来について、かなり詳しく説明してきたけど、不安は解消されたかな?

Lisa

はい!最初は“香港ドルなくなるかも”なんてビクビクしてましたけど、ちゃんと調べたらそんな簡単になくならないって分かって安心しました。

スノーベル

そうだね。香港ドルは歴史的にも経済的にも信頼のある通貨だし、必要なときには円に戻す方法も色々あるんだ。大事なのは、噂に踊らされず冷静に事実を見ること。これに尽きるね。

Lisa

ネットの情報だけで怖がっちゃダメですね…。これからはスノーベル先輩みたいにちゃんと調べて考えるようにします!

スノーベル

うんうん、それが一番!香港ドルとうまく付き合って、安心して資産を運用・管理していこう!

関連記事(ココをクリック👇):
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次