海外赴任中の資産運用完全ガイド|証券口座放置NG?海外在住は積立NISAなど投資できない?香港駐在員が押さえておきたいポイント

海外赴任中の資産運用完全ガイド|証券口座放置NG?海外在住は積立NISAなど投資できない?香港駐在員が押さえておきたいポイント
Lisa

海外赴任が決まったけど、日本での資産運用はどうすればいい?

30~40代で香港に駐在予定の方なら、給与アップやキャリアだけでなく「海外赴任中の資産運用」も大きなテーマではないでしょうか。日本に残した証券口座や積立投資をこのまま放置して大丈夫か、あるいは赴任先で新たに投資を始めるべきか、悩む方は少なくありません。

夕暮れの香港スカイライン+上昇矢印と硬貨のシンプルイラスト

本記事では、海外赴任者が知っておくべき資産運用のポイントを徹底解説します。

NISA口座やiDeCoは海外在住中でも使えるの? SBI証券や楽天証券は非居住者になっても維持できる?

「ばれる」と口座凍結って本当?

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といった疑問に答えつつ、香港から利用可能なおすすめの証券口座や、ETF・投資信託など手間をかけずに運用を続ける方法までカバーします。

難しい制度の違いもストーリー仕立てで噛み砕いているので、ぜひ最後までご覧ください。

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目次

海外赴任すると日本の証券口座はどうなる?非居住者の口座管理

非居住者で凍結される証券口座イメージ

まず押さえておきたいのは、「日本の証券口座は原則として日本居住者向けのサービス」だということです。

海外赴任で日本を出国し住民票を抜くと、法律上は「非居住者」となります。

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多くの日本の証券会社は利用規約で非居住者へのサービスを制限しており、そのままでは証券口座を維持できなくなるケースが一般的にゃ。

日本を出国=「非居住者」になるということ

日本国内に住所を持たず1年以上海外に滞在すると税法上「非居住者」とみなされます(※短期の出張や旅行程度なら該当しません)。

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非居住者になると、日本では基本的に住民税が課税されなくなり、金融機関とも取引条件が変わります。

銀行口座の場合、多くの銀行は非居住者の口座維持を認めておらず、海外転出の届け出をすると口座解約を求められることが多いです。証券会社も同様に、従来の口座を閉鎖または凍結すると規定しているところが大半です。

しかし「非居住者=即すべての口座が使えなくなる」というわけではありません。

Lisa

証券会社ごとに非居住者への対応に違いがあり、一定の条件下で口座を維持できるケースもあります。以下で代表的な証券会社の対応を見てみましょう。

主な証券会社の非居住者対応まとめ

スクロールできます
証券会社非居住者対応の概要(2025年時点)
SBI証券一時的な海外赴任(永住でない)なら口座維持可能。出国前に所定の手続きを行うことで、保有資産を一般口座に移管し売却のみ可能(買付不可)。NISA口座や特定口座は出国時にいったん閉鎖され一般口座扱いになる。海外赴任から帰国予定があるなら継続利用OK。永住予定の場合は解約必要。
楽天証券5年未満の海外赴任なら口座維持可能(5年以上は原則解約)。出国前手続きで保有資産を一般口座に移管。1年未満の短期赴任なら手続きなしで維持可。NISA口座は最長5年間維持可能(後述)、特定口座は閉鎖して一般口座へ移管。非居住者期間中は売買すべて停止(ログインや出金は可能)。さらに楽天証券では常任代理人(後述)の選任が必要になる。
マネックス証券原則として非居住者との取引は不可。海外転出時は口座解約と全資産の売却・払出しが必要だったが、2025年から一定条件下でNISA口座の継続保有が可能に(※後述)。ただし売買等の通常取引は停止となり、非居住者には積極的なサービス提供は行っていない。
大手対面証券(野村証券など)口座担当者を常任代理人として選任し、「非居住者用」の特別口座へ切替えることで資産をそのまま預けられる制度あり。手数料が発生するが、まとまった資産がある場合は検討の価値あり。ない場合は出国前に売却を求められる。

※上記は各社の公開情報やプレスリリース等に基づく概要です。実際の対応は最新情報を証券会社に確認してください。

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ご覧のように、SBI証券や楽天証券といったネット証券でも短期〜中期の海外赴任であれば口座を残せる可能性があるにゃ。ただし共通しているのは「日本在住時のように自由に売買は継続できない」点にゃ。

非居住者期間中は新規の買い付けができず、基本的に売却のみ可または完全凍結となります。また特定口座やNISA口座など税制優遇の枠は一度リセットされ、保有中の商品は一般口座(課税口座)に移されるのが一般的です。

「常任代理人」制度とは?

上の表で出てきた常任代理人とは、非居住者に代わって国内で証券会社からの通知受領や各種権利行使を行う代理人のことです。証券会社や信託銀行がこの役割を担い、非居住者用の証券口座(常任代理人口座)を開設して資産を預かってくれます。

たとえば野村證券やSMBC日興証券では、この「留守宅口座」「常任代理人口座」といったサービスを提供しています。

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手数料(年間数万円程度)がかかるものの、海外赴任期間中も日本株の配当受領や売却など一定の取引継続が可能になるため、大量の日本株や投資信託を保有している方には有効な選択肢です。

ただし保有資産が少額だと手数料負担が重くなるため、資産規模によっては常任代理人制度の利用は現実的でない場合もあります。

その場合は後述するように赴任前に一旦売却して現金化するか、赴任先で利用できる口座に資産を移すことも検討しましょう。

手続きをせず口座を放置するとバレる?ばれない?ばれたら?凍結リスクに注意

「出国することを証券会社に知らせず、今まで通りネット証券の口座を放置しておけばバレないのでは?」と考える方もいるかもしれません。しかし、そのような黙って利用の継続はリスクが大きいためおすすめできません。

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海外赴任することを証券会社に言わなければ、今まで通り使えるんじゃない?

Lisa

それは危ないって聞きました!口座が凍結されるとか…

実際、証券会社側はいくつかの方法で顧客の非居住化に気付きます。例えば郵送物です。

海外転出後に日本の旧住所に郵送された取引報告書等が返送されてくると、住所不明として発覚します。

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また、住民票を抜いた後に国内株の配当や売却益が発生すると本来は住民税が課税されないはずですが、放置していると住民税の課税情報がズレることがあるにゃ。こうした税金面の不整合もチェックの対象にゃ。

さらに現在は世界各国が金融口座情報を交換するCRS(共通報告基準)を導入しています。

日本の金融機関で口座を持つ人が海外在住者だと分かれば、その情報は日本や赴任先の税務当局にも共有されます。「バレずにこっそり」は通用しにくい時代と言えるでしょう。

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万一、非居住者であることが発覚した場合、証券会社は口座を凍結(取引停止)し強制解約の措置を取ることがあります。

そうなると、最悪の場合保有していた株式や投資信託が強制的に売却され、日本円で口座に払い戻されてしまいます。当然、その売却益には20.315%の譲渡益税が課せられますし、損失が出ていても問答無用で決済されてしまいます。

大事な資産を不本意なタイミングで失うリスクがあるのです。

Lisa

ひぇ…やっぱり正直に手続きするしかないんですね。

スノーベル

その通り!バレなきゃいいや、は危険にゃ。

★ポイント: 海外赴任が決まったら、必ず出国前に証券会社へ届け出と所定の手続きを行いましょう。 口座維持が可能な場合も事前手続きが必要ですし、維持不可なら資産の整理が必要です。後手に回すと慌ただしく資産売却する羽目になりかねません。次章では、特に多くの方が利用しているNISAやiDeCoなどの制度が海外赴任でどうなるかを詳しく見てみましょう。

海外赴任中のNISA・iDeCo・積立投資はどうなる?

日本にはNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)といったお得な資産形成制度があります。

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海外赴任中もこれらを活用できるのかは、多くの駐在員にとって重要なポイントです。それぞれ制度ごとに条件や注意点が異なりますので確認しましょう。

NISA口座は5年以内の一時帰国前提なら継続保有が可能

NISA5年ルールを示すカレンダー

結論から言うと、海外赴任で一時的に日本を離れる場合でも、NISA口座で保有中の商品は最長5年間そのまま非課税で保有を継続できます。

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ただしこれは2019年の税制改正で認められた特例措置であり、実際に継続を認めるかどうかは証券会社ごとの対応に委ねられているにゃ。

具体的には、出国前に証券会社へ「非課税口座継続適用届出書」を提出し、所定の条件(海外転勤またはその帯同配偶者で、5年以内に帰国予定であること等)を満たせば、NISA口座を解約せずに保有継続が可能となります。

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ただし非居住者期間中は新規の買い付けはできません。あくまで「持っているものを非課税のまま置いておける」という措置です。赴任前に買い増しやポートフォリオの調整を済ませておくと良いでしょう。

一方、証券会社によってはこの特例に未対応だったり部分的な対応に留まる場合があります。例えば2024年時点ではSBI証券や楽天証券は当初この5年特例に対応しておらず、NISA資産も課税口座(一般口座)へ払い出す運用をしていました。

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しかしユーザーからの要望もあり、2024年末~2025年初頭にかけてSBI・楽天・マネックス各社が相次いで方針転換し、海外赴任時のNISA継続に対応しています。

証券会社の発表によれば、国内株式だけでなく投資信託や海外株式も含めて、所定の届出をすればNISA枠内での保有継続・非課税運用が可能になりました。

スノーベル

ただし各社とも非居住者期間中の新規買付は不可で、5年経過時点で帰国していなければNISA口座は廃止(保有資産は課税口座へ移管)されるにゃ。

要チェック: 海外赴任が決まったら、自分の利用中の証券会社がNISA継続に対応しているかを確認しましょう。対応していない場合、他社へNISA口座を移管する手もあります。出国前にNISA口座を扱える証券会社へ資産を移すことで、非課税の恩恵を守れる可能性があります。

なお、赴任期間が5年を超える場合完全に海外移住する場合は、この特例の対象外です。

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その場合NISA口座は出国時に廃止となり、保有商品は課税扱いに切り替わります。長期の海外転住を予定している方は、NISAに固執せず出国前に利益確定や損出しを検討することも一案でしょう。

積立NISAや投資信託の積立は一時停止に

NISAには一般NISAのほかつみたてNISAがありますが、いずれも基本的な扱いは上記と同様です。

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つみたてNISAの場合も5年以内の一時帰国予定なら口座保有は可能です。

ただし積立投資の新規買付は停止となります。つまり積立設定は出国時に解除され、帰国までは積立を再開できません。(※証券会社によっては、出国中も日本の銀行口座から積立引落し自体はできてしまうケースがありますが、法令上は非居住者期間の買付は無効となるため注意が必要です。)

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投資信託の分配金再投資型で保有している場合も、非居住者期間中は自動再投資が行われず現金で支払われる仕組みになります。この点も覚えておきましょう。

iDeCo(イデコ)や企業型DCは継続利用できるケースが多い

海外赴任者にとって朗報なのは、iDeCoや企業型確定拠出年金(企業型DC)は赴任中も継続できる可能性が高いことです。

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特に会社員として日本の企業から海外赴任する場合、社会保険上は国内勤務時と同様に厚生年金に加入し続けるケースがほとんどです。

日本の健康保険・年金を任意脱退しない限り、企業型DCは日本在住時と同じように掛金拠出・運用を継続可能となります。実際、多くの駐在員の方が赴任後も会社のDC制度で積立投資を続けています。

もし勤務先に企業型DC制度が無い場合でも、個人型のiDeCoに加入することが考えられます。

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通常、海外転出すると国民年金も非加入になりますが、海外在住中でも国民年金に任意加入し保険料を納めれば、iDeCoに加入・継続することが可能にゃ。

ただし、赴任中に厚生年金の被保険者資格を維持するケース(=会社が日本の厚生年金を継続掛金してくれる場合)はそのままiDeCoもOKですが、完全に国民年金第1号として任意加入するケースでは掛金上限が小さくなるなど制約はあります。

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iDeCoを海外でも続けるメリットは、運用益が非課税で運用できることです。長期で積み立てるほど恩恵が大きいので、赴任期間中もできれば拠出を止めない方が資産形成には有利でしょう。

ただしデメリットもあります。海外在住中は日本で所得控除を受けられないケースが多く、iDeCo掛金の所得控除メリットを享受しにくい点です。日本で給与課税されていない駐在員の場合、せっかく拠出してもその年の所得税・住民税が減らない(現地での課税には寄与しない)可能性が高いです。

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それでも長期非課税運用できる利点は大きいので、「税控除は帰国後のお楽しみ」と割り切って続ける価値はあります。

★ポイント: 企業型DCやiDeCoは海外赴任中も続行できるケースが多いので、できる限り活用しましょう。特に企業型DCは会社が制度を用意してくれている以上、赴任中だからといって止める手はありません。ストレスなく半自動で運用を継続できる手段としてフル活用するのがおすすめです。

海外赴任中にできる資産運用方法まとめ

ここまで、日本に残してきた口座や制度をどう扱うか見てきました。では実際に海外赴任中に資産を増やすにはどうすれば良いか、具体的な運用方法を考えてみましょう。ポイントは以下の3つです。

  • 出国前の資産整理 – 日本にある資産を売却するか、そのまま保有するか判断
  • 赴任先・海外で利用できる金融サービスを活用 – 現地または国際的な口座で新規投資を行う
  • 手間をかけず放置できる運用を心がける – 忙しい駐在生活でも無理なく続けられる方法を選ぶ
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順に解説します。

1. 日本の資産は売却すべき?維持すべき? ~赴任前の判断ポイント~

売却か保有か選択を迫られるイメージ

海外赴任前に最も悩ましいのが、日本で運用中の資産をどうするかです。

例えば投資信託の積立を長年続けてきた方は、「このまま中断してしまうと複利効果が止まってもったいない」と感じるかもしれません。

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また含み益が大きく出ている株式を売ると税金がかかるので、なるべく売りたくないという気持ちもあるでしょう。

判断のポイントは、赴任期間の長さ資産額の大きさです。短期(1年前後)で帰任が見えているなら、無理に持ち株を処分せず一時停止のイメージで現状維持する選択もあります。

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この場合も証券会社への届け出は必要ですが、楽天証券なら1年未満の出国は手続き不要という扱いもあるほどで、短期間なら実質的な影響は小さいです。帰国後にまた積立を再開すればよいにゃ。

一方、3~5年以上の中長期赴任が想定される場合や、赴任後に別の海外拠点への転勤もあり得る場合は、日本の資産を一旦リセットする覚悟も必要です。具体的には以下の対応が考えられます。

  • 保有資産が少額:すべて売却・解約し、現金化してから渡航(日本円で銀行預金のまま保管か、必要に応じて外貨に両替しておく)
  • 保有資産が多額:常任代理人制度を使える証券会社に口座を移管し、資産をそのまま預けておく。費用対効果が合わない場合は主要銘柄だけ残し、その他は売却するのも一策。

また、日本の自宅をどうするか(賃貸に出すか売却するか)なども大きな資産の問題ですが、ここでは金融資産に絞ってお話します。税金面では、含み損を抱えた資産を売却しても海外赴任中は損益通算ができず日本で損失繰越もできません。

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逆に含み益を抱えたまま出国すると、帰国後に売却益へ課税されます(非居住期間中は国内課税されないものの、帰国後に売れば普通に課税対象)。

このあたりも踏まえ、一度利益確定して課税されてもいいか将来まで非課税で寝かせたいかを考慮して判断しましょう。

Lisa

私は手持ちの投資信託が300万円ほどあるんだけど…このまま置いておいていいのかな?

スノーベル

規模によるにゃ。例えば先輩が何千万も日本株持っているなら、常任代理人サービスを使って維持する手もあるにゃ。でも300万くらいなら、一旦売ってしまって赴任地で新しく運用し直すのもアリかも

Lisa

そうか、規模と期間次第ってことだね。

2. 海外赴任先で新規に投資を続けるには? ~現地口座・オフショア投資の活用~

赴任中も資産形成を止めたくない方は、赴任先やグローバルに利用できる証券口座を開設し、新たな投資を始めることを検討しましょう。香港赴任者の場合、幸い香港は金融環境が整っており、世界のマーケットにアクセスしやすい土地です。

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現地の銀行や証券会社で口座を開設するのも一つの方法ですが、言語の壁や日本への帰国時の手続きなどを考慮すると、日本人に使いやすいオフショア口座を利用するのが人気です。

特にInteractive Brokers(IB証券)は海外在住の日本人駐在員に非常に評判が良いオンライン証券です。

IB証券で世界に投資するイメージ
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アメリカに本拠を置くグローバル証券会社で、香港を含む世界各地から口座開設が可能です。米国株・ETFはもちろん、日本株や世界中の株式指数先物まで取引可能で、手数料も安く抑えられています。

さらに注目すべきは日本語サポートも提供されている点です。口座開設手続きも日本語ガイドに沿って行え、日本語のカスタマーサポート窓口も利用できます。海外生活で英語や中国語ばかりの環境でも、投資の部分は日本語で安心してやりたいという方に向いています。

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IB証券以外にも、フィリップ証券Firstradeといった選択肢があるにゃ。

フィリップ証券はシンガポールを拠点とする証券会社ですが、アジア地域の駐在員向けに日本語での問い合わせ対応を行っています。現地通貨建ての商品も扱うなど、東南アジア方面に強いサービスです。

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Firstradeは米国のオンライン証券で、日本語対応こそありませんが米株取引の手数料無料(ゼロコミッション)で人気です。英語での取引に抵抗がなければ、米国ETFや株式を低コストで買い付けるのに適したプラットフォームでしょう。

ただし出金時に電信送金手数料が25ドルほどかかる点には注意です(※IB証券なら月1回の送金は無料など、各社サービス差があります)。

最後に現地の金融機関を利用するケースについて触れます。例えば香港の銀行(HSBCなど)に口座を開き、そのまま投資信託や株式を購入する方法もあります。

香港は税制上、キャピタルゲインや預金利息への課税がなく、運用には有利な環境です。

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ただし現地証券会社で日本語サポートがあるところは少なく、商品ラインナップも日本人に馴染みのないものが多いにゃ。また将来日本に帰任する際に、その口座をどうするか(閉鎖や維持)を自分で対処しなければならないにゃ。

会社が税務申告を代行してくれる場合、個人で得た投資収益があると煩雑になるケースもあります。総合的に判断して、「日本人が世界投資をするための口座」を使う方が無難と言えるでしょう。

3. 忙しい駐在員でも放置できる資産運用術 ~ETFや投資信託を味方に~

海外での勤務は日本以上に多忙だったり、文化の違いでストレスフルだったりします。資産運用にかける時間も日本にいる頃より確保しにくいかもしれません。

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そこで、あまり手間をかけず長期運用できる商品を選ぶことが重要です。

おすすめはやはりETF(上場投資信託)やインデックスファンドによる国際分散投資です。例えば米国市場にはS&P500連動ETF全世界株式ETF債券ETFREIT(不動産投信)ETFなど、多彩な選択肢があります。

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香港に居ながら米国ETFを買えば、世界中の株式や債券にワンストップで投資できるにゃ。先ほど触れたIB証券などを通じて購入可能ですし、米国ETFは経費率(信託報酬)が非常に低く長期保有に向いているにゃ。

また為替リスクにも目を向けましょう。駐在中は給与や生活費が香港ドル(または米ドルペッグ)で動くため、資産運用も使う通貨に合わせると安心です。

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幸い米国ETFにはHKD建てはないもののUSD建て商品が主流で、香港ドルは米ドルと連動しています。したがって米ドル建て資産を持つことは現地通貨ベースでの運用に近い感覚でいられます。

一方、日本円建て資産(日本の投資信託など)は円安・円高の影響を常にモニタリングしなければなりません。赴任期間中はあえて円建て資産比率を減らし、帰国が見えてきたら円資産を増やす、という通貨配分の調整も有効でしょう。

手間をかけない運用の具体策としては、定期積立がおすすめです。

例えばIB証券では毎月一定額をETFに投資する機能を自分で設定できます。香港の銀行口座からIB口座へ定期的に入金し、自動買付設定したETFをコツコツ積み上げれば、赴任期間中も着実に資産形成が続けられます。

ドルコスト平均法で購入単価を平準化でき、忙しく相場を見る時間がなくても機械的に投資できる点で理にかなっています。

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放置できる=安心できる商品選びも大事です。銘柄選定に自信がなければ、全世界株式インデックスや米国株式インデックスのような超分散型の商品を中核に据えましょう。

個別株はどうしても値動きに一喜一憂してしまいがちですが、インデックス投資なら基本は市場平均に連動するだけなので、相場急変時にも「じっとホールド」しやすくなります。

5年10年スパンでの成長を信じて、赴任中はあまりポートフォリオをいじらないくらいの腹づもりが功を奏するでしょう。

4. 注意:海外保険や不動産投資にも興味が湧くけれど…

周囲の駐在仲間から「オフショア積立保険って利回りが良いらしい」「海外不動産買ってみたよ」なんて話を聞くかもしれません。

確かに、海外には日本では買えないユニークな保険商品や高利回りが宣伝されている不動産案件があります。これらは駐在中の限られた期間のみ加入・購入が可能なケースも多く、魅力的に映るでしょう。

しかし、慎重に検討してください。例えば海外の積立保険は長期契約が前提で、帰国後も外国の保険会社と英語でやり取りし続ける必要があります。

Lisa

担当者が異動・退職して連絡が取れなくなる、保険会社自体が合併で契約条件が変わる、といったリスクも皆無ではありません。不動産投資にしても、現地の法律や管理に精通したパートナーがいないと、帰国後に管理が難しくなる恐れがあります。

もちろん、赴任中だからこそ得られる投資チャンスを活かすのも一つの戦略です。現地通貨建てで資産を持つことは通貨分散になりますし、海外保険の中には税金繰延べ効果が高い商品もあります。

ただ、どちらも元本が大きく拘束されたり流動性が低い(すぐ解約・売却しにくい)点には留意しましょう。「帰国後はどうやってそれを管理・清算するのか?」を常に考えておく必要があります。

★ポイント: 海外赴任中でも王道の分散投資を中心に据えるのが基本です。余裕資金や興味があれば一部をオフショア保険や現地不動産に充てても構いませんが、リスクと手間を十分に理解した上で自己責任で行いましょう。焦って飛びつく必要はありません。

海外在住者におすすめの証券口座・サービス4選

最後に、海外赴任者(非居住者)が利用できる代表的な証券口座やサービスをまとめて紹介します。

海外在住で日本のネット証券が使えない代わりに、多くの駐在員が利用している定番口座です。香港にいながら世界のマーケットにアクセスできるものばかりなので、用途に合わせて検討してみてください。

Interactive Brokers(IB証券)

– 海外駐在員に圧倒的人気のオンライン証券。世界の主要市場を網羅し、米株・ETFから日本株(一部)まで取引可能。手数料が安く取引ツールも高機能。日本語サポートありで、口座開設もネット上で完結。香港含む世界各国の居住者を受け入れており、非居住者でも安心して利用できる。【メリット】多通貨対応、月1回の無料出金、安心の実績。【留意点】英語プラットフォームが基本(一部日本語化あり)。初回入金や維持手数料の条件があるが比較的容易にクリア可能。

フィリップ証券(Phillip Securities)

– シンガポール拠点の証券会社だが、香港含むアジア在住日本人向けサービスに強み。日本語でのサポート窓口があり問い合わせ安心。アジア市場の株式やファンドも充実しており、現地通貨建ての商品も扱うので赴任国の資産形成にも使いやすい。【メリット】地域密着型サービス、日本人スタッフ対応。【留意点】口座開設に多少時間がかかる場合あり。

Firstrade

– 米国のオンライン証券。米国株やETFの売買手数料が無料で、少額から米ドル建て資産を積み立てたい人に適している。日本を含む多くの国の非居住者が口座開設可能(日本在住者は不可だが海外在住ならOK)。【メリット】取引コスト極小、取扱商品は米国市場中心で豊富。【留意点】基本的に英語対応のみ、カスタマーサポートも英語。出金時に銀行送金手数料が発生する。

IG証券

– イギリス系のグローバル金融サービス。日本にも拠点があり、日本語対応の海外証券口座としてユニークな存在。海外ETFや外国株CFDなども扱う。香港在住から直接口座開設できるかは確認要だが、日本非居住者に対応した実績もあり。【メリット】日本語で手続き可能な点は初心者向け。【留意点】CFDなど上級者向け商品も多く、手数料体系を理解する必要あり。

上記のほか、エストニア発のWise(旧TransferWise)や米国発のBettermentなど、資産運用そのものではないものの送金サービスロボアドバイザーも駆使すると便利です。香港から日本への送金にWiseを使えば安価かつ迅速に資金移動できますし、米国のロボアドバイザーを利用して放置運用する手もあります。ただし日本帰国後にサービス継続できないものもあるため、将来的な出口戦略も考えた上で利用しましょう。

Lisa

色々あるけど、やっぱりIB証券が無難そうだね。日本語OKなのはデカい。

スノーベル

そうですね、まずはIB証券をメインに、慣れてきたら他も検討してみるのが良さそうにゃ

まとめ:海外赴任中も賢く資産運用を続けよう

長い記事となりましたが、海外赴任中の資産運用について重要な点を網羅してきました。最後に要点を整理します。

  • 日本の証券口座は非居住者になると原則利用停止。 出国前に必ず証券会社へ届け出を行い、口座継続の可否を確認しましょう。黙って放置すると口座凍結や強制売却のリスクが高いです。
  • NISA口座は最長5年間維持可能に。 ただし事前手続き必須で、非居住者期間中は新規買付NG。5年超ならNISA枠は一旦諦め、課税口座で運用するか売却を検討。
  • iDeCoや企業型DCは海外赴任中も継続利用すべし。 特に企業型はそのまま続行できるのでフル活用を。iDeCoも条件次第で掛金拠出を続けられ、非課税運用メリットを享受できます(所得控除は帰国までお預け)。
  • 赴任前に日本の資産を整理。 短期赴任なら基本ホールド、中長期なら資産規模に応じ売却や移管を検討。含み益・損の税扱いにも注意して、最善策を選びましょう。
  • 赴任先では海外対応の証券口座を活用。 IB証券を筆頭に、日本人に便利なオフショア口座で新たな投資を始めれば、赴任中も資産運用を継続できます。香港の有利な税制環境も味方につけて、効率よく増やしましょう。
  • 運用はシンプル&放置できる形で。 世界分散のETFや投資信託をコアに据え、定期積立など自動化を活用。情報不足な投資話に飛びつかず、基本に忠実な長期投資を心がければ、忙しくても安心です。

海外赴任は環境が大きく変わる一大イベントですが、資産運用まで止めてしまう必要はありません。むしろグローバルに目を向けるチャンスと捉え、日本と海外の良いとこ取りで資産形成を続けていきましょう。

Lisa

香港での生活とお仕事が充実することを願いつつ、将来のための資産もしっかり見守ってくださいね。分からないことがあれば専門家に相談するのも有効です。ぜひ本記事の内容を活かし、駐在ライフと資産運用を両立させてください!

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