【駐在員はどこに住む?】香港の住宅事情と高級住宅街やマンションを徹底解説 ~世界一厳しい住環境と日本人に人気のエリアや家賃事情とは~

【駐在員はどこに住む?】香港の住宅事情と高級住宅街やマンションを徹底解説 ~世界一厳しい住環境と日本人に人気のエリアや家賃事情とは~
スノーベル

香港は「世界一住宅費負担が大きい都市」と称されるほど、住宅事情が非常に厳しいことで知られているにゃ。

Lisa

駐在員で香港に住んでるから家賃は会社が払ってくれるけど、日本人の私達の感覚で今の家賃は絶対に払えないです・・・。

超高層ビルが林立し、人口密度も東京の約2倍以上という過密ぶりで、その限られた空間に730万人以上が暮らしています。

家賃や物件価格も年々高騰し、住宅の平均価格は東京の2倍以上とも言われています。

スチュアート

一方で、所得の低い層のために政府が提供する公営住宅や、部屋を細かく区切った「劏房(タンファン)」(いわゆる違法 subdivided flats)、24時間営業のマクドナルドで夜を過ごす「マクドナルド難民」など、香港ならではの住宅問題も存在します。

本記事では、そんな香港の住宅事情を包括的に解説します。住宅の種類やエリアごとの特徴、近年の住宅価格や賃料の推移、さらに香港を代表する高級住宅街(中環・ミッドレベル、レパルスベイなど)の魅力と価格帯についても取り上げます。

また、日本人駐在員や移住者が住みやすい人気エリアや住宅タイプも紹介しますので、香港への赴任や移住を検討している方はもちろん、香港の住環境に興味のある方もぜひ参考にしてください。

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目次

香港の住宅事情:狭小空間と高騰する家賃

スチュアート

香港の住宅事情を一言で表すと「狭い・高い」に尽きます。

都市部は山がちで可住地面積が限られるため、住宅は必然的に高層化・高密度化しています。

実際、100メートル超の高層建築物の数は香港が世界最多で、主要都市中ダントツの約530棟(2008年時点)にもなります。最も人口密度の高い地域では1平方キロあたり5万4,500人に達し、東京の最密地域(約2万人/平方キロ)と比べても群を抜いています。

香港駐在員目線の香港住宅事情:100メートル超の高層建築物の数は香港が世界最多で、主要都市中ダントツの約530棟

こうした土地の制約から住宅一戸あたりの面積は狭く、一人当たり居住空間も極めて限られています。「日本の住宅は狭い」と言われがちですが、その上を行く狭小空間が香港の日常です。

スノーベル

そして問題なのが家賃・物件価格の高さにゃ。

香港の平均月収を15万~20万円程度とすると、月収の大半が家賃に消える家庭も少なくありません。

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例えば築数十年の50㎡程度・2Kの古いアパートでさえ家賃は約20万円(約1万香港ドル)にもなるといわれています。

これは東京郊外で同程度の広さを借りるより遥かに高額です。結果として香港では若者が結婚後も親と同居して住居費を分担するケースが多く、狭い部屋に二段ベッドを複数設置して家族で寝起きする光景も一般的です。

Lisa

ある香港人は「二段ベッドの上段が自分の“マイルーム”だった」と語るほどで、日本人からすると驚くべき暮らし向きと言えるでしょう。

香港政府も住宅難を緩和すべく公営住宅(公共住宅)を供給しています。

実は香港では人口の約半分近くが何らかの形で公的支援のある住宅に居住しています。

Distribution of the population in Hong Kong in 2023, by type of housing

具体的には約30%が政府の公営賃貸住宅(いわゆる「公屋」)に、約15~20%が所得制限付きの分譲住宅(居者有其屋計画などのサブシディ付き分譲)に住んでいる計算です。

スノーベル

それでもなお住宅供給は需要に追いつかず、公営住宅の順番待ち期間は平均5年以上にも及ぶにゃ。

The average waiting time for a Hong Kong public rental flat dropped to 5.3 years at the end of 2024, the lowest level in six years. Chief Executive John Lee Ka-chiu on Tuesday expressed confidence in reducing the waiting time for public flats to 4½ years, if including applicants allocated to temporary homes.

Wait for Hong Kong public rental flats drops to 5.3 years, lowest since 2018

低所得層向けの公営住宅に入居できない人々は、無認可の「劏房」(アパートを違法に細分化した狭小住宅)に住むか、最悪の場合はマクドナルドで夜を明かすといった状況になっています。

香港駐在員目線の香港住宅事情:マクドナルド難民

香港では2013年比でマクドナルド難民が5倍以上に増え、300人以上が24時間営業店舗で寝泊まりしているとの調査もあります。こうした極端な例からも、香港の住宅事情がいかに深刻かがお分かりいただけるでしょう。

住宅価格と賃貸料の推移(過去数年~直近)

香港の不動産価格は長年にわたり上昇を続け、住宅は世界で最も手が届きにくい水準にあります。

Chapman University Center for Demographics and Policy and The Frontier Centre for Public Policy presents the 2024 edition of Demographia International Housing Affordability, authored by Wendell Cox. The annual report provides housing affordability ratings for the third quarter of 2023 in eight nations: Australia, Canada, China, Ireland, New Zealand, Singapore, the United Kingdom and the United States, offering a comprehensive and up-to-date analysis of the housing affordability landscape.

Demographia International Housing Affordability Report Highlights Global Housing Affordability Crisis

住宅価格の対所得倍率を示す「メディアン乗数(Median Multiple)」は16.7倍にも達し、14年連続で世界ワーストという不名誉な記録を更新しています。これは median(中央値)の住宅価格が median年収の約17年分に相当することを意味し、一般的に「手頃」とされる倍率(3~5倍)を大きく超えています。

国際的な比較でも、2位のシドニー(13.8倍)、3位バンクーバー(12.3倍)を引き離しており、香港の住宅が突出して買いにくい(借りにくい)ことがデータからも明らかです。

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具体的な推移を見てみると、1997年の中国への返還後しばらく低迷していた住宅価格は、2000年代後半から顕著に上昇し始めました。

Lisa

1997年を100とした場合、2018年時点で不動産価格指数は2.2倍に達したとの分析もあります。

リーマンショック後の世界的低金利や中国本土からの資金流入、旺盛な住宅需要に支えられ、2010年代を通じて香港の住宅価格は右肩上がりでした。

しかし2019年以降、社会情勢の不安(大規模デモや政治情勢)やコロナ禍による人口流出・景気悪化もあり、マーケットに変化が生じます。

2020~2021年頃にかけ一時小康状態となったものの、2022年からは住宅価格が下落局面に入りました。政府統計によれば、中古住宅価格指数は2022年初頭から下落が続き、2024年初までの累計下落幅は約27%にも及んでいます。

香港駐在員目線の香港住宅事情:下落してもそれでもまだ高い香港不動産価格
スノーベル

これは価格水準が2016年頃、約10年ぶりの低水準にまで後退したことを意味するにゃ。

下落の主因は、アメリカの利上げに連動した香港金利の上昇で住宅ローン負担が増したことや、パンデミック下での人口減少などによる需要減です。

香港政府は2023年末から住宅取得にかかる印紙税の引き下げや住宅ローン規制の緩和といった「クーリング措置」の撤廃・緩和に踏み切り、市場テコ入れを図っています。

スノーベル

その効果もあり、下落ペースは徐々に緩やかになりつつありますが、専門家は「2025年までは高級住宅・大衆住宅ともにあと5%程度の下落があり得る」と予測しているにゃ。

一方で、利下げや経済回復が見込まれる2025年後半以降には市場の安定化や持ち直しも期待されているにゃ。

賃貸市場についても同様に高水準が続いています。リモートワークの普及や一部外国人労働者の流出で空室率が高まったオフィス賃料は下落していますが、住宅賃料は依然として高止まりしています。

スチュアート

香港に赴任してきた日本人駐在員が「日本で住んでいた80㎡の3LDK」に相当するマンションを香港で借りようとすると、日本で芸能人が六本木ヒルズに住むほどの家賃を覚悟せねばならない――と揶揄されるほどです。

実際、香港島の中高級エリアでは月額5万~10万香港ドル(約85万~170万円)を超える家賃の物件も珍しくなく、会社からの住宅手当無しで支払うのは並大抵ではありません。

もっとも、2022~2023年の価格調整局面で一部家賃にも緩和傾向が出ています。

スノーベル

とりわけ、外国人駐在員の減少した高級物件や、供給過剰気味の新興エリアでは家賃が若干下がったケースも報告されています。

ただし全体としては依然として世界トップクラスの高家賃都市であることに変わりありません。住宅コストの高さは香港生活最大のハードルとも言えるでしょう。

香港の高級住宅街

ミッドレベル(Mid-Levels、半山)

香港には世界的に見ても有数の高級住宅街が存在します。その代表格が香港島の山手エリアです。特に有名なのが、中環(セントラル)とヴィクトリアピークの中腹に広がる「ミッドレベル(Mid-Levels、半山)」と呼ばれる地域でしょう。

香港駐在員目線の香港住宅事情:ミッドレベル(Mid-Levels、半山)

ここは植民地時代からの伝統的な高級住宅街で、繁華街のセントラルに近接しながら標高の高さを活かした眺望の良さを誇ります。

高低差を利用しているため、建物の合間からヴィクトリア湾の絶景が望め、夜景はまさに100万ドルと称される煌びやかさです。

また、ミッドレベルと下界のオフィス街を結ぶ全長800mの「ヒルサイド・エスカレーター」は世界最長の屋外エスカレーターとして有名で、坂の多いエリアの住民の足となっています。

香港駐在員目線の香港住宅事情:ミッドレベルと下界のオフィス街を結ぶ全長800mの「ヒルサイド・エスカレーター」
Lisa

ミッドレベルには欧米系の外国人も多く居住し、おしゃれなレストランやカフェ、インターナショナルスクールも点在するため、国際色豊かな雰囲気です。

住宅は主に高級マンションで、広めの間取りと充実した管理サービスを備えています。例えば「ロビンソンロード80号」などミッドレベル西部の高級マンションでは、日本人学校の通学バス停が敷地近くにある物件もあり、日本人ファミリーにも人気です。

スチュアート

ミッドレベルの家賃相場は香港で最も高い部類です。

賃料単価が1平方フィートあたり40香港ドル超(1㎡あたり約430HKD以上)という物件がほとんどとのことで、70㎡(約750sqft)程度の平米数でも月額4〜7万HKD(約80〜140万円)を下らない計算になり、実際にはそれ以上の高額物件が多くなっています。

ミッドレベルでは新規に高層マンションを建てる余地が少なく、供給が限られるため希少価値で割高になります。その結果、本当の富裕層か企業の住宅補助がある駐在員くらいしか住めないエリアとなっており、居住者に占める外国人比率が非常に高いのも特徴です。

スノーベル

私の経験だと、一般的に総合商社以上の給与を貰っているサラリーマン、または成功している会社経営者、富裕欧米系(相続などタックスメリットで移住)などを見ましたね。

日系企業だと総合商社だけですかにゃ、部屋は極狭ですが若手から住めるにゃ、ほとんど家にいないから問題にゃいにゃ。30代中盤くらいからまともな広さになるにゃ。サラリーマンに創業者に遺産ボンボンの組み合わせですから、話し合うんか?とたまに思うにゃ。

外資金融のエリート日本人は高級ホテルのレジデンスに住んでることが多かったにゃ。流石にゃ。

スチュアート

現地事情詳しすぎて草

香港島南部のレパルスベイ(浅水湾)

香港島南部のレパルスベイ(浅水湾)も有名な高級住宅エリアです。青い海と白い砂浜が美しいリゾート的な環境で、繁華な都心から離れてゆったりとした雰囲気が漂います。

香港駐在員目線の香港住宅事情:レパルスベイ(浅水湾)

ここには大規模な高級マンションや低層の豪邸が点在し、著名人や富豪の邸宅も多く存在します。

香港駐在員目線の香港住宅事情:レパルスベイ(浅水湾)

湾曲したタワーは「ザ・リリー(The Lily)」と呼ばれる高級マンションで、各住戸が広く設計され最新設備を備えています。レパルスベイ周辺には大型ショッピング施設や高級ホテルもあり、外国人駐在員のファミリー層にも人気です。

香港駐在員目線の香港住宅事情:レパルスベイ(浅水湾)

緑豊かで空気がよいことから子育て環境としても評価が高く、日本人を含む駐在員家族もこのエリアに居住するケースがあります。

Lisa

住みたい・・・!!

家賃水準はもちろん高めですが、同じ広さでも都心部ミッドレベルより若干割安な物件も見つかる傾向があります(都心から距離がある分、通勤に車が必要になるなどの条件付きのため)。

とはいえ超高級物件では月額数十万~100万香港ドル(数千万円)の家賃が当たり前で、2015年にはピークの豪邸が15億香港ドル(約160億円)で取引された例もあり、トップクラスの物件は桁違いです。

九龍駅直結・ELEMENTS直上の高級マンション群

香港駐在員目線の香港住宅事情:九龍駅直結・ELEMENTS直上の高級マンション群

香港・西九龍に位置する九龍駅(カオルーン駅)直結エリアには、The Arch(凱旋門)The Cullinan(天璽)、The Harbourside(君臨天下)など高級マンション群が林立しています。

これらのマンションはいずれも2000年代前半~後半にかけて完成した比較的新しい超高層タワーで、豪華な設備と管理サービスを備えた高級住宅です。

例えばThe Archは2005年竣工(52~55階建て4棟、全1,054戸)で、その名の通りパリの凱旋門を模した独特の外観を持ち、西九龍のランドマーク的存在です。

香港駐在員目線の香港住宅事情:The Arch
スチュアート

マンションの空洞部分は龍が通るために開いているとの話でした。香港らしいですよね。

The Cullinanは2008年前後に完成した68階建てツインタワーで、香港で最も高い高層住宅の一つです。特筆すべき設備として、The Cullinanの浴室は香港では珍しい日本式バスルーム(浴槽と洗い場が分離)を採用しており、日本人には嬉しいポイントです。

香港駐在員目線の香港住宅事情:The Cullinan(天璽)

九龍駅直結のマンション群の特徴としては、家賃は70㎡(約750sqft)程度の平米数で月額3〜6万HKD(約70〜120万円)程度となっています。

敷地は駅・商業施設(ELEMENTS)と一体化したポディウム上にあり、セキュリティゲートで管理されているため安全な環境、日本人学校やインターナショナルスクールの通学バスが利用しやすい、香港の主要拠点へのアクセスの良さ(香港島中環(セントラル)へは東涌線でわずか1駅・約3分、香港国際空港へのアクセスも約20分)が挙げられます。

番外編:ヴィクトリア・ピーク(山頂)

スノーベル

なお、香港の伝統的な超高級住宅街といえばヴィクトリア・ピーク(山頂)も外せないにゃ。

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世界最強(価格)の高級住宅エリアと言っても過言ではない。アリババ創業者のジャック・マーの家ありますからね(笑)191百万ドル(300億円くらい)の家だそうです。

標高500m近い山頂付近には歴史的に欧米人富豪の邸宅が集まり、現在でも外国領事館や大富豪の豪邸が点在します。

スノーベル

ピーク一帯は「世界で最も地価が高い場所」の一つとして度々ニュースに取り上げられ、山頂にある超豪華な一戸建て住宅が世界最高額で落札されたという話題もあったにゃ。買った人間は資本主義の覇者にゃ。

もっともピークは居住人口が限られるため、本記事では主に一般の高級マンションが多いミッドレベルとレパルスベイに焦点を当てました。

この他、九龍半島側の九龍塘(Kowloon Tong)が由緒ある高級住宅街(低層住宅地)として有名です。また新界エリアでも飛鵝山(Fei Ngo Shan)の周辺などに富裕層の邸宅街がありますが、香港の高級住宅街の中心はやはり香港島内に集中しています。

モンスターマンションの建築背景と人気の理由

香港の住宅事情を語る上で近年欠かせない存在となったのが、通称「モンスターマンション」と呼ばれる建物群です。

Lisa

その独特な迫力ある景観からSNSやメディアで注目を集め、香港の住宅環境の象徴的存在となっています。

モンスターマンション(Monster Mansion)とは、香港島・鰂魚涌(クオリーベイ)エリアにある5棟の巨大な集合住宅ブロックの総称です。

香港駐在員目線の香港住宅事情:モンスターマンション(Monster Mansion)

正式名称ではなく愛称ですが、地元では怪獸大廈(怪獣大厦)とも呼ばれます。

元々1960年代に「栢架新邨(Parker Estate)」という名前で建設され、その後1970年代に分割・改称された建物群で、福昌樓・海山樓・海景樓・益昌大廈・益発大廈という5棟から成ります。

スノーベル

合計2,243戸もの住戸があり、約1万人が暮らす超高密度住宅にゃ。

Lisa

1万人!!!!!!!

中庭を囲むようにコの字型・ロの字型に建物が配置され、わずかな天窓から光が差し込む様子はまさに「巨大迷宮」さながら。18階建ての古い高層アパートがひしめき合う光景は圧巻で、初めて見る人は思わず言葉を失うほどでしょう。

このモンスターマンションが広く知られるようになったきっかけは、そのフォトジェニックな景観です。

三方を高層住宅に囲まれた中庭から見上げると、無数の窓と室外機が切り取られた空を縁取る光景が広がります。

その様子を収めた写真が2013年頃にインターネットで話題となり、以後InstagramをはじめSNS映えスポットとして世界中の人々が訪れるようになりました。

さらにハリウッド映画『トランスフォーマー/ロストエイジ』や香港を舞台にした日本の映画・MVなどでロケ地として使用されたことで、一躍有名になりました。

スチュアート

香港に住んでいる人は、モンスターマンションやん!と謎の感動を覚えるのでぜひ見てみてください。(笑)

Hong Kong Battle Roof Chase – Transformers Age Of Extinction-(2014) Movie Clip Blu-ray HD Sheitla

香港駐在員目線の香港住宅事情:モンスターマンション(Monster Mansion)

現在ではGoogleマップにも”Monster Building”と登録され、観光ガイドにも載るほどの人気です。

建物自体は古く、各部屋の広さも決して快適とは言えません。一般的な間取りは1ルームか1ベッドルーム程度で、床面積はせいぜい20~30㎡台と推測されます。

スノーベル

低所得者向けの簡易アパートとして長年使われてきた背景があり、内部は老朽化が進んでいるにゃ。

それでもモンスターマンションが人々を惹きつけるのは、そのサイバーパンク的とも形容される独特の雰囲気にあります。

「近未来的でありながら歴史を感じさせるカオスな空間」とでも言うべき光景は、香港の光と影を象徴しているようにも映ります。九龍城砦を思い起こさせますね。

九龍城砦の現在に迫る:歴史と伝説が交錯する「東洋の魔窟」の真実!衛生問題と取り壊し工法、ネズミ大量発生の懸念

実際に訪れてみると、中庭で写真を撮る観光客の列ができており、白人モデル風の人がポーズを決めている姿も見られました。

一時は撮影客が殺到しすぎて住民苦情から敷地内での撮影禁止措置が取られたほどですが、現在は通常の写真撮影は可能(ドローン撮影は禁止)となっています。

インスタ映えスポットとしての側面が注目されがちなモンスターマンションですが、その存在は香港の住宅問題の歴史を物語っています。

つまり高度経済成長期における低廉な住宅需要を満たすための密集住宅が歳月を経て都市の遺産となった例とも言えるでしょう。

スチュアート

当時はごく一般的だった庶民向け住宅が、時を経て「モンスター」と呼ばれる存在になる――香港の住宅事情の変遷と現在の課題を象徴する建築物として、モンスターマンションは一見の価値があります。

香港の公営住宅制度と団地での暮らし

香港の住宅問題を語る際、公営住宅(Public Housing)の存在は欠かせません。前述の通り、香港市民の約半数が何らかの公的支援住宅に住んでおり、これは政府による大規模な住宅供給策が社会の安定に重要な役割を果たしていることを意味します。

スノーベル

香港の公営住宅は大きく2種類に分けられます。ひとつは公営賃貸住宅(Public Rental Housing, PRH)で、いわゆる「公屋(こうおく)」と呼ばれる低家賃の借上げ住宅にゃ。

低所得の地元市民が対象で、家賃は市場相場より大幅に抑えられており、数百香港ドル~数千香港ドル程度(数万円以下~数万円台)と極めて廉価です。

ただし前述のように需要超過で平均5年以上の待機期間があり、申請から入居まで長い忍耐が必要です。もうひとつは分譲型の公営住宅で、代表的なのが居者有其屋計画(Home Ownership Scheme, HOS)です。

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これは政府が建設した住宅を市場価格より安く販売し、一定期間転売を制限することで自宅所有を促す制度です。いわば「持ち家版の公営住宅」で、中産階級向けに供給されています。

HOSフラットを購入すれば自分の資産になりますが、自由に売買できるようになるまで転売に制約(プレミアムの支払いなど)が課されます。

Lisa

香港の公営住宅団地(いわゆる「公共屋邨」)は、日本の「団地」に相当しますが、その規模や構造は日本のそれよりはるかに大規模です。

郊外のニュータウンを中心に、高さ30~40階級の住宅棟が何棟も林立し、一つの団地で数万人規模が暮らすケースも珍しくありません。

例えば将軍澳(Tseung Kwan O)の公営住宅「健明邨(Kin Ming Estate)」は10棟で約2万2千人を収容します。

香港駐在員目線の香港住宅事情:将軍澳(Tseung Kwan O)の公営住宅「健明邨(Kin Ming Estate)」

団地内には商店やマーケット、学校、公園など生活に必要な施設が一通り揃っており、団地自体が一つの街を形成しています。

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これは1950年代後半の大規模住宅開発(石硤尾の難民向け住宅から始まる)以来の伝統で、住宅不足解消のために効率的な「垂直型コミュニティ」が作られてきた歴史があるにゃ。

古い公営住宅の間取りは非常に質素で、日本の昔の団地をさらに狭くしたようなものです。

典型的な昔の公屋は二部屋+居間+バス・トイレの2DK程度で、面積は30㎡台というものもありました。

スチュアート

しかし近年は改善が進み、新しい公営住宅では50㎡前後の2LDKや3DK程度の広さを持つユニットも増えています。

それでも一人当たりの居住面積は依然狭く、子供が成長すると一家で暮らすには窮屈になるケースが多いようです。そのため結婚した子供世帯は独立して別の公屋を申請する、あるいは狭い中でも二段ベッドを活用してスペースをやりくりする、といった工夫が見られます。

実際の公営住宅での生活ぶりを垣間見る例として、現地を取材した日本人ブロガーのレポートがあります。

スノーベル

そこでは、ある3人家族が暮らす公営住宅の一室が紹介されているにゃ。二段ベッドの置かれたわずか数畳ほどの空間が子供部屋兼ダイニングになっており、もう一つの同程度の部屋にはシングルベッドが一台(お母さんの寝室兼リビング)置かれていたにゃ。

スチュアート

シャワーとトイレが一体化したバスルームがあり、台所は同じフロアの共同キッチンを利用するという生活です。

家賃は支援のおかげで非常に安いそうですが、それでも家計には決して軽くない負担とのこと。部屋の外観写真を見ると、すぐ近くに見える新しい高層マンション群との対比が何とも言えず、香港における住宅環境の格差の大きさに驚かされたと綴られていました。

Lisa

このように、公営住宅は低所得者にとって生活の砦である一方、その質や環境面で課題もあります。

政府は「十年で公営住宅30万戸供給」という目標を掲げ(2022年発表)、待機期間短縮や質の向上に努めていますが、用地確保や建設の遅れなど問題は山積しています。

それでも香港で生活する多くの市民にとって、公営住宅制度はなくてはならない支えであり、香港の超高層ビル群の陰で多くの家庭がこうした団地で日々の暮らしを営んでいることを忘れてはならないでしょう。

日本人駐在員が住むエリアの傾向と人気の住宅タイプ(一人暮らしはサービスアパートメントで楽しい海外生活を)

香港で暮らす日本人コミュニティは約2万7千人(2020年代前半)と推定されており、その多くが仕事の都合で香港に駐在するビジネスパーソンとその家族、あるいは現地採用の日本人社員やその家族です。

Lisa

日本人にとって住みやすいエリアは、生活の利便性や治安、日本人学校への通学事情などからある程度パターンが決まっています。

まず香港島側では、中環・金鐘(Admiralty)へのアクセスが良く日本人学校(小学校部:ハッピーバレー地区)にも通いやすいエリアが人気です。

スノーベル

代表的なのは渣甸山~跑馬地~天后~西湾河にかけての香港島北岸東部エリアにゃ。特に以前は太古(Tai Koo)周辺に日本人が多く住んでいましたが、築年数の経った物件が多いため、近年は隣駅の西湾河(Sai Wan Ho)に移る日本人が増えているそうにゃ。

太古・西湾河エリアにはAPITAやイオンといった日系スーパーがあり、和食レストランも点在するため、日本人にとって買い物もしやすい環境です。

家族向けの広めのマンションが多く、日本のテレビが視聴できるサービスや日本人向け物件仲介に慣れた不動産会社もいるため、初めての海外生活でも比較的安心感があります。

香港島では他に上記でも触れたミッドレベル西部(中環西側の半山)薄扶林(Pok Fu Lam)も日本人駐在員に人気です。

ミッドレベル西部には高級マンションが建ち並び、日本人学校のスクールバスも経由するため(羅便臣道などにバス停あり)、子供連れの駐在員に好まれます。

スチュアート

また薄扶林は香港島南西部の閑静な住宅地で、大型の外国人向けマンションやビレッジハウス(低層集合住宅)があり、日本人幼稚園も近くにあることから幼児のいる家庭に選ばれることがあります。

一方、九龍サイドにも日本人が多く住むエリアがあります。特に紅磡(ホンハム)は近年日本人居住者が増えている地区です。

スノーベル

紅磡は日本人学校(中学・高校部:青衣)のスクールバスルートになっており、小中高生の子どもがいる日本人家族が多く住んでいるとのことにゃ。メーカー勤務の方々が多い印象をスノーベルは持っているにゃ。

紅磡・黄埔エリアにはイオン(JUSCO)が船の形をした建物内にあり、日本食材の買い出しに便利です。

日本食レストランやラーメン店も多く、尖沙咀にも徒歩圏内で行ける利便性から、「香港で今一番日本人が多く住んでいるエリア」と感じる駐在員もいるようです。

スチュアート

さらに紅磡駅から中国本土への直通列車が出ていたこと(※コロナ前)もあり、深圳出張の多い駐在員にも人気でした。

九龍側では他に上記で触れた西九龍(West Kowloon)も挙げられます。西九龍の九龍駅直結の高級マンション群(エレメンツ上の4棟のタワー群)は、空港アクセスや香港駅への利便性から外国人富裕層に人気で、日本人駐在員も一部住んでいます。

Lisa

また九龍駅の一駅隣、オリンピック駅周辺(大角咀エリア)も開発が進む新興住宅地で、日本人もちらほら住んでいます。オリンピックには大型ショッピングモールやシティスーパーなどもあり、比較的新しいマンションが多いことから、若い駐在員夫婦などに選ばれるケースがあります。

新界エリアでは、日本人学校(小学部・中学部)がある大埔(Tai Po)やその通学圏の沙田(Sha Tin)が日本人家族に検討されることがあります。

沙田・大埔は中心部から離れますが、日系スーパー(イオン)やIKEAがあり生活に必要なものが揃うこと、自然が多く落ち着いた環境であることから人気の理由になっています。

スノーベル

実際、火炭・沙田あたりには日本人学校高学部への通学に便利なマンションもあり、日本人居住者が一定数います。ただしこれら郊外はファミリーで大きめ物件に住むケースが中心で、単身や子供のいない夫婦には距離的なハンデがあるにゃ。

総じて、日本人が多いエリアは生活のしやすさや安心感があります。日本語対応可能な医療機関や美容室があったり、日本人同士のコミュニティも形成されているため情報交換もしやすいです。

その反面、家族帯同者向けの物件が多いため部屋が大きめ(=家賃高め)だったり、どうしても日本人エリアに人気が集中するため割高になる傾向もあります。

そのため、単身者であれば日本人が少ない地域にも目を向けると選択肢が広がるでしょう。香港は治安が比較的良いので、日本人が少ないローカルエリアでも慣れてしまえば問題なく暮らせますし、その方が「海外に住んでいる実感」が味わえるという声もあります。

スチュアート

ただ、独身で遊びたいならミッドレベル一択やな。予算きつければ銅鑼湾(Causeway Bay)や湾仔(Wan Chai)でもOK。島側の方が絶対に楽しい、お金は高速で溶けていくけど。

Lisa

(スチュアート・・・なんで遊びに詳しいんや・・・)

いずれにせよ、香港で住まいを探す際は職場への通勤時間お子さんの学校バス事情、そして予算とのバランスを考えることが大切です。

エリアごとに特徴がありますので、可能なら現地をいくつか見学して自分たちに合った環境を見極めると良いでしょう。

まとめ

  • 香港住宅の特徴
    • 不動産価格は世界トップクラスで、賃料や購入費用が非常に高い
    • 物件は狭い傾向があるため、予算と広さのバランスが重要
  • 高級住宅街と住環境
    • ピーク(The Peak):香港島を代表する高級住宅地。景観良好だが家賃は最上級
    • リパルスベイ(Repulse Bay):ビーチが近く、リゾート感を味わえるエリア
    • ミッドレベル(Mid-levels):中心部へのアクセスが良く、日本食材店も多い
  • 日本人に人気の地域
    • 太古城(Taikoo Shing):大型ショッピングモールや日本スーパーがある
    • 紅磡(ホンハム)・九龍塘(カオルーントン):交通便利で学校も多く、家族帯同に向く
  • 物件選びのポイント
    • 周辺環境:日本食材の入手可否や学校、病院の有無などを考慮
    • 通勤利便性:オフィスまでの距離や交通手段を優先するか、居住環境を優先するかを明確に
    • 予算:高額でも環境重視か、多少不便でも家賃を抑えるかをしっかり検討
  • まとめ
    • 高額な家賃と限られた広さが香港住まいの大きな課題
    • 一方で、アクセスや利便性は抜群で、日本人向けの施設も充実
    • 自分の生活スタイルを明確にし、希望条件と予算の折り合いをつけることが大切
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