香港の法人税率はなぜ低い?税金が安い理由と仕組みを徹底解説【配当・キャピタルゲインも非課税】

香港の法人税率はなぜ低い?税金が安い理由と仕組みを徹底解説【配当・キャピタルゲインも非課税】
Lisa

日本の法人税は高い、と嘆く起業家や中小企業オーナーの方も多いでしょう。

その一方で、香港は法人税率が最大16.5%と日本の半分程度で、海外で得た利益には税金がかからないことから「税金天国」「タックスヘイブン」とも呼ばれます。

スノーベル

例えば香港で会社を設立すれば、利益に対する税負担を大幅に軽減できる可能性があります。さらに株式売却益(キャピタルゲイン)への課税がなく配当金にも税金がかからないなど、香港の税制には日本にはないメリットが満載にゃ。

本記事では、日本人の起業家・中小企業オーナーの皆さんに向けて、香港の法人税を中心に税金が安い理由や仕組みを徹底解説します。最後まで読み進めれば、香港の税制の魅力と注意点が網羅的に理解できるはずです。

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目次

香港の法人税率の概要:最大16.5%で日本より低い二段階税率

まず、香港の法人税(利益税)の基本を押さえましょう。香港の法人税率は標準で16.5%と、世界的に見ても非常に低水準です。

スチュアート

これは日本の大企業に適用される実効税率(約30%超)と比べて半分程度に過ぎません。さらに、中小企業やスタートアップに配慮して、香港では2018年以降二段階の優遇税率が導入されています。

法人税率(二段階制): 課税所得がHK$200万(約3億円弱)までは 8.25%、その超過部分は通常の 16.5%
(※個人事業やパートナーシップの場合は15%が標準税率で、HK$200万まで7.5%、超過分15%)

香港のこの二段階税率により、利益が小さい企業ほど税率が半分(8.25%)に軽減されます。特に中小企業にとって税負担が大幅に軽くなり、ビジネスのインセンティブになる仕組みです。

Lisa

香港の法人税率って16.5%なんだね。日本よりずっと低いけど、8.25%になる優遇措置もあるの?

スノーベル

そうにゃ。香港の法人税率は最大16.5%で、日本の実効税率30%超と比べれば本当に半分程度にゃ。しかも利益が小さいうちは8.25%の軽減税率が適用されるんだにゃ。中小企業にはありがたい制度にゃ

例えば、年間利益がHK$200万(約3億円)の会社なら、香港では8.25%の税率で済み、税額はHK$165,000(約300万円)です。

同じ利益に対し日本の中小企業の法人税(15%の軽減税率+地方税)だと実質20%以上、約600万円以上の税負担が発生します。利益が大きくなると香港でも16.5%まで上がりますが、それでも日本の約30%より低く税コストの差は歴然です。

香港政府はこの低い法人税率に加え、研究開発費の300%控除や特定業種への減税など各種の税優遇策も設けています。単に税率が低いだけでなく、合法的に節税できる仕組みが整っており、企業にとって理想的な環境と言えるでしょう。

香港の税金が安い理由と特徴:キャピタルゲイン非課税・配当も無税

Lisa

香港が「税金が安い」と言われるのは、法人税率の低さだけではありません。税制の仕組み自体がシンプルで課税対象となる範囲が限定的なのです。香港税制の主な特徴・メリットをまとめると以下の通りです。

  • 属地主義(テリトリアル税制): 香港で発生した利益のみに課税する方式。海外(香港国外)で得た所得は香港では非課税になります(※後述)
  • 税率が低い: 法人税は最大16.5%(中小企業は8.25%)、個人の所得税も累進課税で最大17%程度と低水準
  • 税目が少ない: 消費税(付加価値税)が一切ないほか、資本的所得への課税が極めて少ない(例:キャピタルゲイン課税なし)
  • キャピタルゲイン非課税: 株式や不動産など資産売却益は基本的に非課税(※短期売買で商売的な取引と見なされる場合を除く)
  • 配当金への課税なし: 企業が上げた利益を配当に回しても、香港では配当への追加課税や源泉徴収税がない(受け取った側も非課税)
  • 利子所得も非課税: 香港では銀行預金利子など一般に利子収入は課税されません(銀行利息は免税対象)
  • その他の税が軽微: 相続税・贈与税が存在せず、不動産譲渡などにかかる印紙税・関税も一部品目を除き低率

これらの制度設計により、香港では課されない税金が多いのが特徴です。

スチュアート

例えば、日本では株式や不動産を売却するとその譲渡益に20%~30%の税金がかかりますが、香港ではそれがゼロです。株式投資で利益が出ても利益の丸ごとを自分や企業内部に残すことができます(もちろん損失が出ても税金上の控除はありませんが、それだけ税制がシンプルです)。

また、日本の法人が配当を出すと受取側に20%超の課税・源泉徴収がありますが、香港法人の配当にはそれがなく利益は一度税金を払えば使い切りです。

Lisa

香港って本当に税金が安いのね!株を売って儲けても税金ゼロで、会社の配当金にも税金がかからないなんて夢みたい。

スノーベル

香港は資本利得(キャピタルゲイン)税が一切かからないから、投資で得た利益をほぼそのまま手元に残せるにゃ。ただしその代わり損が出ても税金上は控除できない点には注意だにゃ。日本だと株の損失を繰り越して税金を減らす制度があるけど、香港は儲けも損もノータックスというシンプルさにゃ

Lisa

なるほど、儲けても損しても税金面では干渉しないわけね。

スノーベル

そういうことにゃ。それから香港では海外からの配当金や利子にも課税しないし、そもそも日本みたいな源泉徴収制度がないから、海外投資家にも魅力的なんだにゃ。

香港政府は「低税率・簡素な税制」を売りに、世界中からビジネスや富裕層を誘致してきました。

その結果、「税金の種類自体が非常に少ない」「シンプルで低負担な税制」という点が評価され、香港は世界で有数のビジネス環境を築いています。

実際、会計大手PwCの調査では「世界で最も税制度がビジネスフレンドリーな国」の上位常連が香港です。こうした税制の簡潔さと低負担こそ、香港が「税金天国」と呼ばれる所以です。

ただし、税金がかからない仕組みには注意点もあります。例えば先ほどスノーベルが言及したように、「頻繁な売買で得た利益」は香港でも事業所得と見なされ課税されるケースがあります。

デイトレーダーのように短期売買を職業的に行っている場合は、単なる投資ではなくビジネスと判断され、その儲けは16.5%の法人税課税対象となり得ます。したがって、「香港なら何でも非課税」と油断せず、自社の事業形態が投機的・継続的取引に該当しないか専門家に確認することが大切です。

香港と日本の法人税の比較:税率・税負担の差を表で確認

ここで、香港と日本の法人税や関連税制を比較してみましょう。日本で事業を営む場合と、香港で事業を営む場合で、どの程度の税負担の差が生まれるかが一目瞭然です。

スクロールできます
税目香港の税制日本の税制
法人税率(基本)16.5%(法定税率)
※利益HK$200万以下部分は8.25%
法人税23.2%(国税)+ 地方法人税等
※中小法人は年間利益800万円以下15%(特例)
法人実効税率約16.5%(一律、地方税なし)
※中小企業実効約8.25%~16.5%
約30%~34%(大企業)
中小企業は実効20~25%程度(軽減措置適用時)
海外所得非課税(香港源泉所得のみ課税)課税対象(日本は全世界所得課税)
キャピタルゲイン
(株式・資産売却益)
非課税(原則)
※短期売買等は課税判定あり
課税:法人の場合は通常の法人所得に算入(実効税率30%前後)
個人の場合は原則20.315%の分離課税(株式譲渡益等)
配当金(受取側)非課税:香港法人が支払う配当は受取側で課税なし
※香港に配当の源泉徴収税もなし
課税:法人が受け取る場合、持株割合等により95%益金不算入制度あり(実質5%課税)
個人が受け取る場合、20.315%の源泉分離課税(上場株式等)または総合課税
配当金(支払側)源泉徴収なし:非居住者への配当も香港ではWHTなし源泉徴収あり:非居住者への配当支払時20.42%(通常)、条約適用で10%・5%等
利子所得非課税(銀行預金利息など免税)
※企業間貸付利息など一部事業収入は課税
課税:法人の受取利息は益金算入(実効税率約30%)
個人の利息収入は20.315%分離課税(預金利息等)
消費税なし(0%)あり(10%の消費税(VAT)、中小事業者は免税特例あり)
その他の税相続税・贈与税なし
印紙税(スタンプデューティ)あり(株式譲渡0.13%、不動産取引最大4.25%など)
関税ほぼなし(酒・タバコ等のみ課税)
相続税・贈与税あり(最大55%、20%)
登録免許税・不動産取得税など各種あり
関税あり(輸入品目により税率)

※上記は主な違いの比較です。日本の法人実効税率は地方税を含めた東京23区の場合の目安。日本の中小法人は軽減税率15%(年800万円以下所得)が2025年度以降も延長中。香港ドルHK$1=約17円換算。

ご覧のように、香港と日本では法人を取り巻く税制が大きく異なります。香港では企業の利益に対する税金は利益税(法人税)だけで、付加価値税(VAT)や地方税がありません。

日本では法人税以外に地方法人住民税・事業税が課され、実効税率を押し上げています。

また、日本では法人がいくら利益を上げても株主やオーナー個人に配当・報酬として渡す際に再度課税されます(経済的二重課税)が、香港では一度利益税を払えば、その後の配当や資本取引では課税されないため、事業で稼いだ利益を最大限有効活用できるのです。

Lisa

日本だと会社が利益を出すと30%前後税金で持っていかれて、残りをオーナーが配当でもらうとまた20%課税……って二重取りされる感じだけど、香港は一度16.5%払えばそれで終わりなのね。

スノーベル

その通りにゃ。香港では法人段階で課税終わり、配当で個人が受け取っても非課税にゃ。日本は法人+個人でトータル約50%近い負担になるケースもあるけど、香港は会社段階の16.5%で完結するから効率が良いにゃ。

Lisa

利益がどんどん会社に蓄積できるし、それをまた投資に回せば複利で増やせるってわけね。

スノーベル

そうにゃ。香港では利益を再投資して資本を雪だるま式に増やしやすい。日本と比べると資本が積み上がるスピードが桁違いだにゃ。

香港の配当金・キャピタルゲインに税金はかからない?その仕組み

香港では配当金やキャピタルゲインに税金がかからないと繰り返し述べましたが、その仕組みと背景を少し詳しく解説します。

● 配当金が非課税の理由

香港では企業が支払う配当金について、法人側でも受け取り側(株主)側でも課税がありません

Lisa

法人が利益税(16.5%)を納めた後の残余利益を株主に分配しても、一切の源泉徴収税(WHT)が課されず、受け取った株主もその配当を香港で申告納税する必要がないのです。

これは「法人段階で課税すれば十分」という考え方に基づいており、二重課税を避ける香港の方針です。結果として、オーナー社長や投資家は香港法人からの配当をまるごと手にできるメリットがあります。

● キャピタルゲインが非課税の理由

株式や不動産など資産の売却益(キャピタルゲイン)は、香港では「資本取引による収益」であり通常課税対象ではないとされています。香港税務局(IRD)の原則では、資本的性質の取引から生じた利益は非課税です。

ただし、これは投資目的で保有していた資産を売却した場合に限った話であり、短期売買を繰り返すような場合は「営業利益」と見なされ課税されることがあります。

スチュアート

例えば、1年以内に株式を売買して利益を得る行為を事業として継続的に行っていれば、その利益はキャピタルゲインではなく事業所得(トレーディング利益)と判定され、16.5%の課税がなされます。

逆に言えば、長期保有資産の売却益や一過性の株式譲渡益は課税されず、投資リターンを損なわないのです。

「二重非課税」の是正

こうした非課税措置は、香港が国際的な投資センターとして資金や企業を呼び込むための魅力となっています。投資で儲けても税金がかからないため、国内外の投資家にとって香港市場は非常に有利です。

スノーベル

その結果、香港には多額の資金が流入し、金融市場が発展する好循環が生まれてきたにゃ。

しかし、近年国際的な潮流として「二重非課税」の是正が叫ばれており、香港も一部制度変更を行っています。

特に受動的所得(パッシブインカム)のオフショア非課税が問題視され、2023年から香港法人が海外で得た受動的所得(配当・利息・知的財産収入等)について、香港で十分な実体(経済活動)がない場合には課税対象とする新ルールが導入されました。

この改正により、例えば香港にペーパーカンパニーだけ置いて海外子会社から配当や利息を受け取るようなケースでは、香港でも課税される可能性が出ています。

スチュアート

ただし、積極的な事業所得については従来通り海外源泉なら非課税ですし、しっかり香港にオフィスや人材を置く実体のある企業であれば配当等のオフショア所得も引き続き非課税とされています。

要は「実体のない受動所得シフトは許さない」という国際基準に香港も対応しているということです。この点は高度な国際税務の話になるので、個別のケースでは専門家に確認するとよいでしょう。

香港はタックスヘイブン?日本のタックスヘイブン対策税制に注意

Lisa

ここまで見てきたように、香港は「低い税率」「海外所得非課税」「多くの所得が非課税」という特徴から、しばしば「タックスヘイブン(租税回避地)」とみなされます。

実際、法人税率が20%以下の国・地域は一般にタックスヘイブンと呼ばれ、日本の税法上も香港(16.5%)はその範疇に入ります。

しかし、だからといって日本に住みながら香港に会社を作れば無税で済むという単純な話ではありません。日本には「タックスヘイブン対策税制」(外国子会社合算税制)という厳しいルールがあるためです。

スノーベル

この制度は、日本の高税率を逃れる目的で低税率国にペーパーカンパニーを置き利益を移転させる行為を防止するため、日本の親会社や個人株主に対して低課税国の子会社の利益を合算課税する仕組みにゃ。

簡単に説明すると、日本の法人または個人が50%以上(または実質支配)の海外子会社を持ち、その子会社の実効税率が20%未満(香港は16.5%で該当)であれば、原則としてその子会社の所得に日本で課税されてしまいます。

これがタックスヘイブン対策税制です。たとえ香港で稼いだ利益が香港では非課税・低課税でも、日本側で捕捉され本来の親会社の所得に合算されてしまえば、日本の法人税・所得税が課されるため香港の低税率メリットは享受できなくなります。

Lisa

えっ、それじゃあ日本にいるまま香港に会社作っても、日本の税務署に結局税金取られるってこと?

スノーベル

条件によってはその通りにゃ。日本の『タックスヘイブン対策税制』では、香港みたいな税率の低い国に設立した子会社の利益は、日本の親会社の利益と合算して課税される場合があるにゃ。

Lisa

それじゃ香港に会社作る意味がなくなっちゃう…

スノーベル

ペーパーカンパニーだと意味がないにゃ。でも実態のある事業なら話は別だにゃ。日本の税制にも経済活動基準というのがあって、外国子会社がちゃんと人を雇いオフィスを構え現地でビジネスしていれば、この税制の適用除外になることが多いんだにゃ。

Lisa

なるほど、香港でしっかり事業をしていれば、日本に課税されずに香港の低税率を享受できる可能性があるのね!

スノーベル

そうにゃ。そのため香港で会社を作るなら実体のある事業にすることが重要にゃ。ただ受動的な所得(配当や利息だけ受け取るだけとか)は一部合算課税されるので注意が必要にゃ。

ポイントは、香港進出で税メリットを得るには「きちんと現地で事業を営む」ことです。単に郵便箱会社を香港に置いて利益を付け替えるだけでは、日本の税法にキャッチされてしまいます。

しかしリアルな事業(販売拠点や地域統括会社など)として香港法人を運営するのであれば、香港の低税率を合法的に活用する余地があります。

実際、多くの日本企業が香港にアジア地域の統括拠点を置いており、経済活動基準を満たすことでタックスヘイブン対策税制の適用を免れています。独立したオペレーションを香港で行い、人材も雇用しているようなケースでは「その利益は香港現地で生じた正当な事業利益」と認められるためです。

要注意なのは、香港法人が稼ぐ所得の種類です。日本のタックスヘイブン対策税制では、たとえ現地実態がある外国子会社でも、受動的所得(パッシブ所得)については一部日本で合算課税せよと求められる場合があります。

具体的には、香港子会社の所得の中で配当や利息、ロイヤルティ収入、証券譲渡益などがある場合、それらはたとえ現地事業があっても「受動的所得」部分として日本親会社に合算される可能性があります(一定の持株割合の配当は除外など例外もあります)。

このように、日本側の取り決めは複雑なので、香港での節税スキームを検討する際は必ず国際税務の専門家に相談することが肝要です。

総じて言えるのは、「香港だから税金ゼロで何でもOK」ではなく、日本側の税ルールとも調和させて初めて効果が出るということです。香港は合法的に節税ができる環境ですが、日本の納税義務を完全に逃れるのは難しい部分もあるので、両国の制度を理解しバランスよく活用しましょう。

日本と香港の租税条約と源泉徴収税:二重課税の回避

最後に、日本と香港の間の租税条約について触れておきます。日本と香港は2011年に「日港租税協定」(二重課税防止協定)を締結しており、両地域間の投資・取引における税負担を軽減する仕組みが整っています。

この条約のポイントは、両国で同じ所得に二重に税金が課されないようにすること、および源泉徴収税率の軽減です。具体的には、日本と香港の居住者間で以下のような恩恵があります。

  • 配当の源泉徴収税率の軽減: 日本企業が香港居住者(法人・個人)に配当を支払う場合、日本で課される源泉徴収税は通常20.42%ですが、日港租税条約適用により5%(親会社が株式10%以上保有の場合)または10%に軽減されます。逆に、香港法人が日本居住者に配当を払う場合、香港側はもともと源泉徴収しないため、日本側で受取人が自国の税を払うだけです(日本の個人なら先述の20.315%、日本の法人なら95%益金不算入等)。
  • 利息・ロイヤルティの源泉税軽減: 日本から香港への利息支払いは通常20%課税ですが、条約で10%までに減免されます(政府機関への利息は0%)。ロイヤルティについても日本から香港への支払いは5%に軽減。香港からの利息・ロイヤルティ支払いは、香港側ではそもそも利息は非課税・ロイヤルティも4.95%以下と低いため、日本側での課税(例えば日本受取人なら所得税課税)との調整が図られます。
  • 二重課税の排除: 例えば日本企業が香港子会社から受け取る配当は、香港では無税・日本では95%が非課税(参加持分要件満たす場合)となり、両国で重複して税金を払うことが避けられます。また、香港で払った税金がある場合、日本で外国税額控除や益金不算入の制度で差引かれます。

このように、租税条約のおかげで日港間の投資は税務上も円滑になっています。

香港は日本を含む主要国と数多くの租税協定を結んでおり、アジアのハブとして各国からの配当・利息を集約しても現地源泉税が軽減される利点があります。

例えば、中国子会社の配当を直接日本に送ると10%源泉課税(条約適用後)ですが、一度香港の統括会社に送れば5%に軽減、といったケースです(※香港から日本親会社への再配当は前述のとおり香港無税・日本95%免除)。

そのため、香港にアジア地域の持株会社を置くことはグローバル税務戦略上も有効と考えられています。

ただし、日本と香港の租税条約は完全な租税回避を認めるものではありません。条約には「恩恵条項の濫用防止」の規定もあり、不自然なスキームで条約メリットだけ享受しようとすることはできません。

日本‐香港の租税協定は、濫用防止規定(2010年協定のLimitation of Reliefに加え、2023/2024年適用のMLIによるPPT)により、不自然なスキームで条約メリットのみを享受することはできません。

スチュアート

なお、日本‐香港間の協定はMLIの適用対象であり(日本側の適用:源泉税は2024年1月1日以降の支払、その他税目は2023年9月23日開始事業年度から)、前文の改訂やPPT、MAPの整備が反映済み。一方で、香港側の留保により第三国PE等の一部MLI条項は未適用です。

国際取引における配当・利息の取り扱いは、条約と国内法双方の要件・手続に依存するため、実際のクロスボーダー取引では専門家のサポートが推奨されます。

まとめ:香港法人税のメリットを活かすポイント

Lisa

香港の法人税率および税制の特徴を、日本の税制との比較も交えて解説してきました。香港は法人税16.5%・中小企業8.25%という低い税率、そして海外所得非課税キャピタルゲイン・配当非課税といった制度により、日本よりも格段に税コストを抑えられるビジネス環境です。

この「税金が安い理由」は、香港が金融センター・貿易ハブとして発展してきた歴史と政策によるものですが、日本から見るとまさに「税金天国」とも言える魅力があります。

スチュアート

一方で、日本人の起業家・投資家が香港の低税率を活用する際には注意も必要です。日本には外国子会社合算税制(タックスヘイブン対策税制)があり、形だけ香港に会社を作って日本の税金逃れをしようとしても、後で日本で課税されてしまうリスクがあります。

香港でのビジネスで恩恵を最大化するには、日本の税制上も問題にならないよう「実体ある事業」を行うことが重要です。現地にオフィスを構えスタッフを雇用し、香港市場や周辺国でリアルにビジネスを展開することで、初めて香港の低税メリットを正当に享受できます。

スノーベル

また、香港自体も国際的な税制改正に対応しつつあるため、最新の法改正情報に注意を払いましょう。特にオフショア取引や受動的所得の取り扱いなど、近年変更があった部分については専門家と相談のうえ適切に構築する必要があるにゃ。

それでも、香港の税制が日本より有利である点は揺るぎません。法人税率の低さ、税制度の簡潔さ、そして多くの所得が非課税となる仕組みは、事業運営に大きな余裕をもたらします。

日本人起業家や中小企業オーナーにとっても、香港は海外進出や資産運用の拠点として非常に魅力的です。税金面でのアドバンテージを最大限に活かしつつ、法令遵守と事業実態の両立を図れば、香港進出は企業成長や資産形成にとって心強い選択肢となるでしょう。

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